韓国の農水産物輸出と海苔の躍進(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国の海洋水産部によると、2018年の水産物の輸出1位はマグロだが、マグロの輸出は前年同期比で少し減少している。2位の海苔の場合、2015年の輸出額は5億ドルだったのに対して、2018年の輸出額は5億2,553万ドルへと成長している。海苔の輸出目標額は2024年までに1億ドルを目指している。
3位はカニで、輸出額は1億ドルを上回るようになっているし、4位(カキ)と5位(鯖)の輸出額は6,900万ドルくらいとなっている。ところで、海苔輸出のライバルはというと、意外な国が登場する。実はタイである。タイは海苔の輸出国として急激に浮上しつつある。タイで海苔は生産されないので、タイは中国や韓国から乾燥海苔を輸入し、それを加工してスナックにして販売する戦略を取っている。タイは海苔を加工する過程で、わさび、ココナッツなどの多様な味をつけて、海苔の付加価値を高めているのだ。
タイは中国市場でも、韓国のシェアを奪いつつある。中国市場で韓国は市場シェアを徐々に落としている反面、タイはその分、中国での市場シェアを伸長させている。
タイは品質に厳しい日本市場での加工食品納品の実績とノウハウをいかし、海苔のスナック市場を制覇しつつある。韓国と日本以外では、海苔はスナックとして消費されることが多いので、韓国や日本でおかずとして好まれている味付け海苔は、外国人の口には、しょっぱく感じられるだろう。タイはそのような市場の性格を理解したうえで、唐辛子、ピーナッツ、トムヤム、チーズ、ココナッツなどの味付けをした海苔をスナックまたは、お酒のおつまみとして出しているのである。
海苔を味付け海苔ではなく、スナックに加工すると、利益は2倍~3培大きくなるようだ。韓国は海苔の1位の生産国ではあるものの、海苔のスナック生産の1位のタイトルは、海苔を全然生産していないタイに奪われている。ちなみに、マグロの缶詰輸出1位もタイである。韓国の遠洋漁船が取ったマグロをタイが加工輸出しているわけである。生産は韓国がやっているが、加工販売はタイがやっているもう1つの事例である。
タイにタオケーイーノ(Taokaenoi)という海苔のお菓子がある。タイのセブンイレブンやスーパーなどで、必ずと言っていいほど目にする商品である。商品名が会社名でもあるこの会社は、タイ市場の67%くらいを占めているし、上場されている会社である。2017年の売上高は52億バーツで、バンコクにスナックの専門売り場ももっていて、そこは観光客でいつも賑わっている。
今後韓国でも、タイのこのような戦略を参考にしつつ、現地に合わせた商品づくり、海苔の付加価値の高い加工食品の開発、食材や物流の総合的な支援など、対策を講じようとしている。韓国の農水産部では、農水産物の輸出商品として大きな可能性に気が付き、農水産物を半導体や電器製品のような有望輸出品目として成長させていく計画だ。
(了)
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