世界を変える「ブロックチェーン」の可能性(前編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年3月1日付の記事を紹介する。
国際関係やビジネスのあり方を一変させる可能性を秘めた技術開発が急展開を見せている。その主役の名は「ブロックチェーン」である。日本では投機的な印象が強いビットコインと錯覚されることもあるが、ビットコインを可能にした基盤技術がブロックチェーンであり、ブロックチェーン技術そのものは中立的なものに他ならない。では、ブロックチェーンとはどんな技術なのか。一言で言えば、「皆で使える台帳」のこと。例えば、銀行の台帳は銀行と預金者しか使えない。しかし、ブロックチェーンはインターネットにつながっていれば「誰でも、どこからでも使える」のが強みである。
皆のパソコンのパワーを少しずつ分け合って作られるのが特徴といえよう。「P2P」の代表選手と言っても過言ではない。結果的に、多く分けている人には多くの収入が入る仕掛けでもある。収入が得られるので、皆がパソコンのパワーを分けてくれるインセンティブも働くわけだ。
しかも、すべての取引記録を皆で持ち合い、支え合っているため、相互の監視が効くことになる。いうまでもなく、パワーもデータも皆で持ち合っているので、たとえ1個が壊れてもブロックチェーンは壊れることがない。「ブロック」とはそうした台帳の1ページにあたる。それらがつながって「チェーン」を形成するのである。
ヨーロッパのエストニアがブロックチェーン技術の活用先進国として知られる。選挙の投票においても、医療機関を受診する際にも、ブロックチェーンをいかした個人認証カードが機能している。そのため、日本を始め世界各国から視察団が引きも切らない。しかし、ブロックチェーン技術を活用している国はエストニアに限らない。
例えば、「第二のドバイ」と異名をとる中央アジアのアゼルバイジャンでもブロックチェーンの実用化が急ピッチで進んでいる。具体的には、不動産登記、電子公証人サービス、公共料金の徴収など、実に多方面に渡る分野で日常生活に利便性をもたらしている。
こうした実用化の動きを見て、世界の多くの国々で新たなビジネス基盤造りの実証実験が進展するようになってきた。何と、原油や天然ガスの商品取引や芸術品のオークションにもブロックチェーンの利用が始まったのである。オークション大手のサザビーズでは贋作防止にブロックチェーン技術を最大限にいかしている。
実は、ブロックチェーンの出発点は2009年に起こったリーマン・ショックである。金融業界への不信感が高まり、信頼できる「分散型の金融システム」への期待が高まったことが背景にある。即ち、「皆で支え、皆で使い、皆で見張る、そして改ざんができない台帳」を作ろうという動きが生まれたわけだ。まさに革命的な動きと言えるだろう。
※続きは3月1日のメルマガ版「世界を変える「ブロックチェーン」の可能性(前編)」で。
著者:浜田和幸
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