2024年11月05日( 火 )

【経営教訓シリーズ】営業損益段階で大幅な赤字転落

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大成印刷(株)

2017年2月、労働基準法違反により福岡県および福岡市から3カ月間の指名停止措置を受けた大成印刷(株)の18年3月期は大幅な減収減益となった。競争激化の業界環境のなか、収益力の再興が求められている同社の今後の動向が注目される。

地場老舗印刷会社の斜陽

 大成印刷(株)は現・代表取締役会長・清家邦敏氏が1970年10月に設立。主にポスターやカレンダー、チラシといった宣伝用印刷物を手がけており、地場を代表する老舗印刷会社として知られる。

 関連会社に販促広告作成を手がける(株)ブリンク、スチール写真やムービー関連の制作を行う(株)スタジオ56、婚礼・ショッピングバッグなどの袋制作を行う福邦製袋工業(株)、出版・編集を手がける千年書房(株)の4社があり、事業内容の構成を充実させ販売先を拡大。2002年3月期には43億5,926万円の売上高を計上した。しかし、近年は印刷市況の低迷により減収傾向に陥るとともに、受注競争の激化、大口焦げ付きの発生などから営業損益段階での赤字を散発してきた。

指名停止処分からの急降下

 16年11月22日、同社は労使協定を届け出ずに男性従業員2名に時間外労働をさせていたことにより、福岡中央労働基準監督署から労働基準法違反の容疑で書類送検された。これにより同社は17年2月からの3カ月間、福岡県と福岡市から指名停止措置を受けた。18年3月期は売上高20億636万円と前期比22%減の大幅減収、営業損失2億617万円、当期損失1億9,865万円の赤字に転落した。

 02年3月期には営業利益率5%を計上したが直近5期は1%未満にとどまっており、利益の確保が困難な状況にある。財務面は有利子負債比率(純資産÷有利子負債)が187%に拡大し、有利子負債への依存度が高まっている。また、収益力の低迷、財務状況の悪化に加え、83歳の清家邦敏代表の後継者問題も解決していない。抜本的な事業改革が求められる。

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【児玉】

代 表:清家 邦敏
所在地:福岡市博多区東那珂3-6-62
設 立:1970年10月
資本金:6,330万円
業 種:総合印刷
売上高:(18/3)20億636万円

 

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