2024年11月30日( 土 )

間近に迫る2030年の世界:『未来の衝撃』アルビン・トフラーの遺言(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年3月15日付の記事を紹介する。


 歴史の浅い国アメリカでは未来研究が盛んで、学問としても定着している。ハワイ大学やテキサス大学を筆頭に未来研究学部が有名だ。官民の研究者を集めた「世界未来学会」も活発に啓蒙活動を展開中である。国防総省やCIAなどの専門家が集められ、「世界のトレンド分析:2030年への選択肢」と銘打った報告書もまとめられている。

 筆者も何度か参加したが、連邦議会には「未来研究議員連盟」が存在。未来を先取りし、新たなアイデアや技術を駆使することで世界のリーダーとして君臨し続けようとするアメリカの強い意志が感じられる。

 確かに、未来社会は人類未踏の様相を呈している。今でもITやAIの研究開発のスピードは加速する一方である。ビジネス面での応用はもちろん軍事面での応用にも拍車がかかる。アマゾンではあらゆる商品を注文から30分以内にドローンで宅配する実験を行っているが、同じ技術を戦場でも活用しようとする動きもあるため、Googleでは軍事応用研究に反対する社員たちが反旗を翻すことになった。ロボットシェフの登場に危機感を抱くラスベガスの料理人たちは「ロボット反対」のデモを繰り広げている。

 その一方で、人口減に直面するサウジアラビアでは世界初のAIロボットに市民権を与えた。アメリカではロボットが正式に弁護士資格を取得し、中国ではロボット記者が活躍している。京都ではロボット住職が登場し、若い観光客の人気を集めるようになった。まさに人間が人工知能ロボットに凌駕される「シンギュラリティの時代」の到来を予感させるばかりといえそうだ。

 2030年まで、あと11年。どんな世界になっているのだろうか。経済や技術の分野では中国がアメリカを抜き去るとの予測がもっぱらだ。そうなれば、軍事力や政治力の面でも中国が世界を牛耳ることになるかもしれない。ファーウェイをめぐる動きは、そうした近未来に恐れを抱くアメリカの反応とも見られている。

 北朝鮮の暴走を防ぐにも、アメリカは中国の力を借りざるを得ないのが現状である。歴史の流れであろうが、アメリカの一極支配は終わりを迎えている。アメリカの理工系の大学で学ぶ学生は中国からの留学生が圧倒的になってきた。人口という武器は市場という最終兵器を構成する。世界最大の人口大国・中国は同じく人口の大きさで肩を並べるインドとの間で国境紛争を乗り越え、戦略的関係を強化しつつある。

 「中国の夢」と称する「一帯一路」計画はインド、ロシア、中央アジアは言うに及ばず、アラブ中東からヨーロッパ、アフリカをカバーする巨大な「中華経済圏」構想に他ならない。ロシアの進める「ユーラシア構想」と一体化すれば、「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ政権とは真っ向から対峙するものになるだろう。

※続きは3月15日のメルマガ版「間近に迫る2030年の世界:『未来の衝撃』アルビン・トフラーの遺言(前編)」で。


著者:浜田和幸
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(後編)

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