2024年11月30日( 土 )

中国経済新聞に学ぶ~今年の中国経済・デフレの可能性は?

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 中国経済は今年どんなスタートを切っただろうか。第1四半期は、経済成長ペースが引き続き鈍化するだろうか。デフレになる可能性はあるだろうか。全人代の期間中、中国国家統計局は14日に今年1~2月の経済データを発表し、注目を集める一連のホットな話題についての回答を出した。

中国経済のスタートは?

 2018年第4四半期の経済成長ペースは6.4%となり、各界から高い関心が寄せられた。19年の中国経済はどんなスタートを切っただろうか。

 まずいくつかの重要な経済データをみると、雇用情勢は全体として安定し、2月の全国都市部の調査失業率は5.3%となり、目標値の約5.5%を下回った。物価は低水準で推移し、1~2月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比1.6%上昇し、調整コントロールの目標約3%以内に収まった。

 経済成長を牽引する「トロイカ」の投資、消費、輸出をみると、1~2月は固定資産投資が同6.1%増加し、増加率は前年を0.2ポイント上回った。社会消費財小売総額は同8.2%増加し、増加率は前年を0.2ポイント上回った。社会消費財小売総額は同8.2%増加し、増加率は前年12月の水準を保った。輸出は2兆4,264億元(約40兆2,782億円)で同0.1%増加した。

 同局の毛盛勇報道官は、「大多数の指標が安定しており、一部の指標が好転の傾向を示している。1~2月の中国経済運営は合理的な範囲を保ち、全体的安定と安定の中での成長という発展の流れを引き継ぎ、具体的には国内需要の安定の中での上昇、構造最適化の流れの維持、雇用と物価の全体的な安定、市場の予想の動きの好転、株式市場の活発な取引となって表れた。これは市場の信頼感を反映するものでもある」と述べた。

 モルガンスタンレー華金証券有限責任公司の章俊チーフエコノミストは、「昨年7月の『インフラの弱点分野の補強』から、その後打ち出された『6つの安定』(雇用の安定、金融の安定、対外貿易の安定、外資の安定、投資の安定、予想の安定)による全面的な安定成長、さらには今年の予想を上回る規模の減税・費用削減が、実体経済への信頼感を安定上昇させる上で目に見える効果を上げ、これから政策の効果が持続的に現れて投資や消費のデータが徐々に安定改善することが予想される」と述べた。

第1四半期の経済成長率は引き続き鈍化するか?

 これから中国経済はどうなるだろうか。第1四半期の状況を踏まえると、中国経済成長ペースは引き続き鈍化するのだろうか。底を打つのはいつか。

 毛報道官はこうした疑問に対し、「今年1~2月の状況をみると、消費分野は引き続き安定をみせた。3月の消費ニーズは前年よりいくらか好転する可能性があり、全体として消費は引き続き安定成長傾向を保つとみられる。投資分野をみると、一方で社会の予想が徐々に好転し、また一方で行政のスリム化、減税、費用削減の政策、周期と反対方向の調節の政策などを含む諸政策が打ち出され、徐々に実施されるのにともない、投資は引き続き安定上昇傾向を維持するものと期待される」と述べた。

 また毛報道官は、「内需は安定の中で上昇する発展の流れを維持した。外需については、1~2月の状況を踏まえると、春節(旧・正月、今年は2月5日)要因の影響はあったものの、輸出入額は全体として小幅の増加傾向を維持した」と述べた。

 毛報道官によれば、「内需と外需の状況から考えて、当面の経済運営の全体的な安定という流れは今後も継続が可能だ。安定を維持すると同時に、経済構造の調整・最適化・高度化、高い品質の発展に向かう歩みはこれからも続く」という。

デフレになる可能性は?

 同局のデータによると、今年1~2月の消費者物価指数(CPI)上昇率は同年同期比1.6%で、前年12月より0.3ポイント低下し、特に2月は13カ月ぶりの最低を更新した。1~2月の生産者物価指数(PPI)は同0.1%上昇し、上昇率は前年12月より0.8ポイント低下した。

 この2つのデータの低下からデフレへの懸念が起きていることについて、毛報道官は「1月のCPIは同1.7%上昇し、2月は同1.5%上昇し、2カ月間の平均上昇率は1.6%で、穏やかな成長ペースだといえる。最近は、大口商品価格が回復・上昇した。今後は投資増加率の安定上昇にともない、PPIは支えを得て合理的に上昇するとみられる」と述べた。

 デフレが出現するかどうかについて、毛報道官は「デフレとは一定期間内の社会の物価の全面的で持続的な低下をいう。この定義に基づけば、CPIは穏やかに上昇し、PPIは上昇率が鈍化したが上昇傾向を維持しており、デフレになる可能性は低いといえる」と述べた。

 交通銀行の連平チーフエコノミストは、「上半期の物価上昇圧力の目に見えた低下はすでに事実であり、需要であれ流動性であれ物価上昇を著しく牽引することはあり得ない。安定的成長政策の効果がさらに顕在化するのにともない、インフラ投資に牽引されてPPIは反転上昇する可能性があるが、通年の上昇率は確実に昨年を下回る。インフレ傾向が全体として安定的に運営されればマクロ政策に良い可能性を提供する。安定成長と雇用の維持はマクロ調整の一番の目標だ」と述べた。


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