【スーパーマーケット・トレードショー】加速する変革への対応 SMが抱える課題を解消する商材続々と(1)
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省力化・省人化対策への提案が顕著
2月13日から15日まで幕張メッセで、「スーパーマーケット・トレードショー」(全国スーパーマーケット協会主催)が開催された。今年で53回目を迎えた歴史のある業界向けの最大級の商談展示会で、毎年、バイヤーや食品流通の関係者など多くが訪れるが、今年は3日間で8万8,412人が来場した。
食品メーカー、卸し、設備機器、情報サービスなどの2,176の企業・団体などが出展。地域産品や海外商品も紹介され、今後のスーパーマーケット(SM)の在り方や食品流通、食のトレンドなどを探る格好の場となっている。
業界を取り巻く環境は常に変化しており、近年ではアマゾン、楽天などネット通販の台頭、コンビニ、ドラッグストア(DgS)との異業種との競合により、市場が脅かされている。人手不足による人件費や物流費のコスト増といった問題も抱え、今年は秋に消費税増税が予定され、生活者の節約志向も高まることが予想される。
中長期的には、少子高齢化や地方の疲弊、過疎化、所得格差の増大といった社会構造の変化への対応も迫られ、生活者の意識や価値観、行動スタイルも変わろうとしている。
一方で、IT・IoTなど最新テクノロジーの活用で、省力化、省人化などによる効率性の向上や顧客との関係性の変化がもたらされ、すでにセルフレジや、電子マネー、スマホペイなどキャッシュレス化が進み、ビッグデータを活用したマーケティング、コスト削減といった取り組みにもアプローチしている。小売業にとってテクノロジーの活用は取り組むべき主要課題となっている。
こうしてさまざまな課題を抱えながら、その課題に応えるために毎回、メインテーマを設定しているが、今回は「創 ニッポン」を掲げ、さまざまな課題の答えをつくる一助の役割を担い、豊かな地域社会づくりの貢献を担っていくことを目指している。
そのなかで注目されるブースが「Future Store“NOW”」。全国スーパーマーケット協会は、2016年からSMの目指すべき方向性と実現に向けた研究を開始、課題を抽出し、必要なテクノロジー情報を共有する作業に取り組んだ、18年度から生活者および小売業の目線で中長期的かつ継続的に、SMの在り方を問い、近未来型店舗モデルの開発を進めている。
店舗スマート化、健康志向への潮流
今回は「VIVID MARCHE~人に近づき、寄り添う~」をテーマに、これまで1年間のテーマに沿った情報収集・研究の成果が発表され、生活者の調査を基に、豊かなSMの役割として3つのスタイルを提示している。
「スマートコミュニケーション」は、最新テクノロジーを活用した店舗のスマート化により、生産性の向上を実現し、顧客、従業員双方の負荷を軽減しようとする取り組み。AI、IoT、AR、5G、画像認識、ドローン、モビリティといった最新技術を用い、レジソリューションや電子決済、受取ロッカーなどを展開、デジタル家電との連携も模索する。
店舗をスマート化することで、省力化・省人化による効率化が図られ、業界の長年の課題である生産性の向上が期待でき、従業員の負荷軽減や顧客サービスの向上にもつながるが、ハードルの高い費用対効果の問題をいかにクリアして具現化できるかがポイントとなりそうだ。
生活者の健康意識の高まりへの対応策として考えられたのが健康状態のチェックや食事・食材に対するアドバイスによる「ウエルネスサポート」。AI、センシング、キネクト、ウエアラブル端末、音声認識、ビッグデータなどを使って、ヘルスケアや食品鮮度保存などを実現しようとする。
日本ウエルネス学会の定義によれば、「ウエルネス」は、幸福で充実した人生を送るために、我々の毎日の生活を見直し、改善が必要と気づいた生活習慣の改善をしていこうというもので、健康より幅広く、より積極的な概念だという。
(つづく)
【取材・文・構成:西川 立一】関連記事
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