ブロックチェーンが抱えている現実の課題(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
ブロックチェーンという言葉が1人歩きしている。ブロックチェーンは技術がベースになっているビジネスだが、多くの人は技術を理解しないまま、ブロックチェーンという言葉に熱狂している。ブロックチェーンという単語は、すでに流行語になっていて、ブロックチェーンに関する記事を目にしない日のほうがむしろ珍しいほどだ。
ブロックチェーンはインターネットにつぐ革命だとされている。ブロックチェーンへの熱狂ぶりは、2000年度のITバブルより激しい。ITバブルの全盛期も、ドッココム企業ではないと、相手にされない傾向があったが、最近多くの企業はブロックチェーンという言葉を用いて、投資を誘致するなど、ブロックチェーンに対する過度な期待を植え付けている。しかし、イメージがいくら先行しても、ブロックチェーンの技術が実現できることには、自ずと限界がある。また、一部では仮想通貨には懐疑的でも、ブロックチェーンは大きな可能性を秘めているので、積極的に対応すべきだという評価もあるが、実はブロックチェーンと仮想通貨は不可分の関係であることが、見逃されている。
インターネットの普及で、情報交換のネットワークが構築されることになったが、ブロックチェーンの普及は、今後価値交換を実現させることになり、ビジネスプロセスが画期的に変わるとされている。ブロックチェーンの特長は、分散型台帳を用いることによって、非常に透明性が高くなり、データの改ざんや二重払いが防止でき、中央管理が必要ではない点である。とくに、今までのように、特定の団体または機関を、信頼の基盤にする必要がないため、「信用に関する問題」が解決されたと世間では騒がれている。
たしかに、ブロックチェーンの技術が大きな可能性を秘めていることは間違いないが、まだ技術が成熟したわけでもなく、一部のビジネスにはブロックチェーンは向いていないということを専門家は指摘している。にもかかわらず、ブロックチェーンは金融分野をはじめ、不動産登記、流通業、知的財産権の管理など、いろいろな分野に活用されようとしている。今回はブロックチェーン技術が抱えている課題を中心に取り上げてみたい。
まず、ブロックチェーンは何なのかを簡単に整理しよう。ブロックチェーンはビットコインの取引を可能にした基盤技術である。ブロックチェーンの一番大きな特徴として、従来のシステムは、事業運営者に対する信頼で成り立っていたが、ブロックチェーンは、システムの仕組みでそれを確保できた点が挙げられる。すべての取引記録を関係者全員でもち合い、お互いが監視できるようにしたことで、ブロックチェーンは信頼を得ている。それに、一度記録された内容は後で書き換えるのが難しくなっている。それに、ブロックチェーンはアップデートが難しく、システムが変更しにくく、拡張が難しい。言い換えれば、ブロックチェーンは特殊なデータベースなのだ。
(つづく)
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