【スクープ第4弾】「塩田大介」が福岡を拠点にねらう、企業主導型保育事業の闇(4)~偽造写真・印鑑で助成金を獲得、巨額の内装費を支給するデタラメ助成金制度
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■写真も偽造、書類・印鑑も偽造の、驚きの手口
連載3回目では、川﨑大資こと塩田大介氏が代表を務めるWINカンパニーが、偽造写真を使って国からの助成金を申請している事実を報じた。再度確認しておきたいが、塩田氏は助成金を使った企業主導型保育所「KIDSLAND(キッズランド)」をチェーン展開するWINカンパニーの代表であり、ABCホーム元会長時代に競売入札妨害で実刑判決を受けた札付きの人物(連載1回目参照)だ。
前回記事で告発したのは、企業主導型保育所の開設にあたって助成金を「申請中」の案件だったが、新たに、公益財団法人児童育成協会の審査を経て「助成金支給が決定」した保育所について、申請に偽造書類が使われていたことがわかった。今回判明した案件では申請書類だけでなく実在の建築士名義の書類や印鑑まで偽造されており、WINカンパニー内で書類偽造が常態化していたことをうかがわせる。
保育所の開設予定地は、福岡市中央区渡辺通の大丸福岡天神店にほど近い一等地に立つ商業ビルの一室。「KIDSLAND(キッズランド)天神店」の名称で2017年11月30日に整備費(建築、内装費など)の助成金支給が決定している。WINカンパニーに助成金申請コンサルタントを依頼した設置企業は株式会社ジャングルフードサービス(福岡市中央区薬院)で、2年前に助成決定が下りているにも関わらずなぜか現在も内装工事が続いている(ことになっている)という、その点だけとっても奇妙な案件だ。
今回、KIDSLAND(キッズランド)天神店の助成金申請に使われた書類のうち、少なくとも2つが偽造されたものであることがわかった。1つ目は、前回(連載3回目)と同様、現地写真の偽造だ。WINカンパニーは申請にあたって添付資料(A)を「【天神施工写真】平成31年3月末時点」として提出しているが、取材班は5月8日に現地を確認し、これらの写真がまったく別の内装工事現場のものであることを突き止めた。
実際の現場は添付写真(B)のようにいわゆる「スケルトン」状態(外壁や柱などを残した状態)になっており、他に撮影した写真などを仔細に見比べると写真(A)と(B)がまったく別の場所なのがはっきりとわかる。
2つ目の偽造は、連載2回目で告発したのと同様の、文書偽造・印鑑偽造だ。WINカンパニーはKIDSLAND(キッズランド)天神店の工事が遅れていることを児童育成協会に通知するため、実在する建築士の名前と印鑑が付された「覚書」(添付写真C)を提出している。「企業主導型保育園工事 工事進捗状況について」とする覚書には、今年3月31日時点で「工事が75%完了していることを証明する」と書かれており、東京都中央区にある実在の建築設計事務所と代表者である一級建築士・Gさんの名前が付され、さらに事務所名義の印鑑が押されている。
じつはこの覚書、真っ赤な偽物なのだ。Gさんに直接(添付写真C)を見せて確認したところ、以下のように証言した。
「この書類は初めて見ました。当然、印鑑を押したこともないですし、なぜ社判が押されているのか意味がわからない。川﨑氏(塩田大介)と仕事をしたことはありますが……混乱しています……非常に恐ろしいですね」(一級建築士Gさん)
■坪単価228万円の工事費用に驚きの声~「保育所に大理石でも敷き詰めるのか?」
このKIDSLAND(キッズランド)天神店については、申請書類の偽造だけでなく、そもそも本当に保育事業を始める計画があるのか、重大な疑念も生じている。助成決定が下りて2年間も塩漬けになっていることに加え、助成金を支給する根拠となる内装費用の算出方法が不明瞭なのだ。
KIDSLAND(キッズランド)天神店の総床面積は311m2(約94坪)で、約2億1,400万円を工事費用として助成金申請している。工事費用の見積もりで使用される1坪(約3.3m2)あたりの工事費に換算すると、「坪単価=約228万円」。この数字を見て、福岡市内のある内装業者は息をのんだ。
「まったくありえない数字です。私も保育所の内装工事を受注したことがありますが、通常は坪単価60万円程度が相場です。いくら高くついたとしても80万円まででしょう。坪単価200万円を超えるとなれば、それこそ大理石を敷き詰めなければ出てこない数字で、いったいどんな根拠で出してきた数字なのか」
特別取材班は複数の内装業者、建設業者に見積もりを見せて意見を求めたが、その全員が坪単価200万円超に「業界の常識とかけ離れた、驚きの数字」と口をそろえる。しかし、この数字をもとに助成金支給が決定されていることは確かで、約2億1,400万円の4分の3にあたる約1億6,000万円が整備助成費として支払われることが決定している。
いったいなぜこんなデタラメ審査がまかり通っているのか。それは企業主導型保育事業が、安倍政権が進める待機児童ゼロという数値目標の達成「だけ」を目的に構築されたスキームだからに他ならない。いわば「バラマキ」になることを約束されていたかのような制度なのだ。したがって、この「おいしい」制度に群がった目ざとい企業も多く、WINカンパニーと同様の、あるいは似たやり口で助成金を得た保育所が複数存在するのも確かだ。この連載を冷や汗を流しながら読んでいる企業経営者や保育コンサルタント業者もいることだろう。
さらに不可解なのは、たとえ児童育成協会の審査段階でストップしている案件であっても、「塩田氏が介入することで動きだす案件が多かった」(同制度を利用した企業関係者)という証言だ。暴力団など反社会的勢力とのつながりもあった塩田氏がなぜそれだけの影響力を持ちえたのか。取材を進めると、企業主導型保育事業と塩田氏を結ぶライン上に、ある大物政治家「A」の存在が浮かび上がった。
【特別取材班】
(つづく)関連キーワード
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