シリーズ・消えた「流通企業」 優良企業が目白押しだったマイカル子会社~マイカル(後)
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前回マイカル本体の悲劇を紹介したが、マイカルの子会社には優良企業も数多くあった。そして、その企業はいまでは名を変え現在も事業を続けている。
まず、生活百貨店を実践していた地域の子会社、「マイカル九州」「マイカル北海道」である。両企業とも、イオングループに統合されているが、この2社はマイカル時代から評価が高かった。まず、マイカル九州。マイカルの旗艦店舗・ビブレの実験店舗であった天神ビブレを成功させる。赤字店舗だった天神店を大胆にファッション専門店ピルに改装した同店は、ヤング層をガッチリつかんで九州での地盤を確固たるものにした。
一方、マイカル北海道は、ニチイ時代からの提携企業で、その昔はホクホーと言った。その後、社名をマイカル北海道とし新業態・生活百貨店のサティを釧路や帯広などの道内主要都市に出店し、競合店をことごとく圧して地域一番店になった。マイカル崩壊後、社名をポスプールと変えた。これはイオングループ入りに抵抗を示すささやかな奇策だったが、結果、イオンに吸収されてしまい、それぞれ「イオン九州」「イオン北海道」として運営されている。
都市型小型SMの「ポロロッカ」もユニークだった。ポロロッカとは、アマゾン川で年に一度起こる河口から川上へと水流が逆流する現象でこれを店名に掲げた。多くのSM企業が郊外の大型店を目指していたころのことで、まさに時流と逆流していたが、都市に住む顧客に人気を博した。マイカル破綻後、マルエツが買収する。ダイエーの会長を務めた吉野平八郎氏がイギリスのテスコの小型店に似ているポロロッカを評価したことによる。その後、マルエツがイオングループになったことで現在では、プチマルエツとして営業を続け、コンビニに負けない業態に育ち、イオンの小型SM「まいばすけっと」のモデルにもなっている。
文化事業でも異彩を放った。スイミングスクール「ピープル」は、オリンピック候補選手を輩出するほどの人気で優良事業だった。いまでは、スイミングスクールは珍しくないが当時は人気のイトマンのスイミングスクールくらいでこれと肩を並べる人気だった。マイカル破綻後は、コナミが事業を継承している。
最後に、「ワーナー・マイカル・シネマズ」は、シネマコンプレックス(シネコン)の走りとして大きな成功を収めた。これまでの興行事業にはないマルチシアター形式と米国ワーナーブラザースとの提携で独自の配給システムをつくり上げ、これまでの常識を覆した。現在は、イオンシネマとして、シオンモールの核テナントとなっている。
マイカル本体は、時代の流れを読み違え、残念な末路となったが、関連の優良子会社はどれも個性的でユニークな事業ばかりであり、現在も顧客の支持を得ている。
(了)
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