2024年12月22日( 日 )

「財政難の北九州市浮揚には、IRしかない」~井上秀作・北九州市議会自民党議員団副団長(5)

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井上秀作・北九州市議会議員・北九州市議会自由民主党議員団副団長

候補地は最小でも75ha、最大で150ha規模

 ――誘致する場所の目星はついているのですか。

 井上 まだ具体的にはいえませんが、候補地は3カ所ぐらいに絞られてきています。長崎県の候補地は30haですが、北九州市の候補地は最小で75ha、最大で150haあります。「5,000億円投資する」と言っていたIR事業者が、ある候補地を視察したとき、「1兆円投資できるかもしれない」と言っていました。私は、IR事業者に半額出してもらって、新幹線を建設しようと思っています。1兆円のなかには当然、アクセス軌道も含まれているわけですから。

カジノ内に依存症クリニックを設置したい

 ――IR反対派をどう説得しますか。

 井上 ギャンブル依存症の部分については、IR推進協議会のなかにギャンブル依存対策部会を設置します。メンバーは精神科医の先生方です。ギャンブル依存症への一番の対策は「ギャンブルに行かせないこと」だそうです。いくら治療しても、患者の目の前にパチンコ屋があったら、行ってしまいます。これはどうにかしないといけない。専門家である彼らはそう考えているんです。カジノができれば、患者は入りたくても入れなくなる。

 先日、大阪のIR展示会に行ったのですが、顔認証システムで人物を特定して、依存症の人間などが入れない仕組みができていました。IRができることによって、これを成功モデルとして、既存のパチンコ店にも設置することでギャンブル依存患者も減らすことができると思っています。

 これは私の個人的な提案ですが、カジノ内にギャンブル依存症のクリニックをつくりたいと考えています。ギャンブル依存症の人間を治療する最良のタイミングは「負けた瞬間」なんです。その時、彼らは何かにすがりたいんです。3交代24時間態勢でお医者さんに勤務していただき、カウンセリングや治療をしていただければ、最良の治療場所となるはずです。実現すれば、世界初です。

IRが来れば、むしろ治安は劇的に改善される

 ――「治安が悪くなる」という意見もあります。

 井上 それはまったくナンセンスな意見で、逆に治安は良くなります。ラスベガスに行ったときに、真夜中にまちを歩いたのですが、全然危なくないんです。まちの到るところに警備する人間が立っているからです。ラスベガスのような観光都市で、窃盗や殺人などの事件が起きたら、命取りですので、常に厳重な警備態勢が敷かれているんです。首都であるワシントンD.Cよりも治安が良かったのにはビックリしました。

 IR事業者は、セキュリティーに関するさまざまなノウハウをもっています。それは非常に厳格なもので、我々が「え、そこまでするの」と驚くほどです。たとえば、魚を納入する事業者にも、暴力団と付き合いがないかどうか監査が入り、膨大な資料の提出を求められます。しっかりした法務部門がある会社であれば、何とか対応できるかもしれませんが、一般的な中小企業にはムリではないかと思うほど、非常に細かく、徹底した監査なんです。これを地元企業がどうクリアするかが課題ですね。

 あるIR事業者の人が言いました。「我々が最も嫌うのはマフィアだ。絶対にノーだ」と。私も以前は、IR事業者の人間はマフィアの仲間だと思っていましたが、実際はそんなことはなくて、コンプライアンスに関して、彼らはメチャクチャ厳しいです。多分市役所の人間より厳しいです(笑)。IRか来れば、北九州市の治安はむしろ劇的に改善されるでしょうね。

(了)
【大石 恭正】

<プロフィール>
井上 秀作(いのうえ・しゅうさく)

 駒沢大学法学部政治学科を卒業後、国際航業(株)に入社。95年、井上勝二北九州市議会議長秘書を経て、2002年2月、北九州市議初当選、以後5期連続当選をはたし、17年2月に北九州市議会議長に就任(19年3月退任)。1969年4月生まれの50才。北九州市小倉北区出身。

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