FIT見直しでどうなる再エネ 業界の声を拾う(3)
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東日本大震災を契機に、再エネ事業に注目が集まり、国内では太陽光発電に多額の投資が集中した。太陽光発電の普及にともない、売電価格が下がり、FITの本来の目的である、再エネ普及には一定の効果があったといえる。ここにきて、政府が示したFIT見直しで今後の再エネ業界はどうなっていくのか。業界を取材した。
問い合わせも減少傾向
実は弊社への問い合わせ件数が多いのも、この関連領域だった。新設会社が多いこと、情報が少ないブローカーもいるため、調査依頼が増えていた。不動産が絡む詐欺まがい行為も散見され、工事でのトラブルも多く、相談件数も多かった。訴訟案件も太陽光がらみが一時期多かった記憶もあり、その要因を分析すると発電所の建設現場が勝手を知る地元と異なることにある。
たとえば、福岡県内の発電事業者が鹿児島の案件を手がける場合、元請は福岡で見つけたものの、下請の実行部隊は鹿児島で探す。紹介で下請業者は見つかるものの、蓋を開けてみると実は厄介な相手だった。従前の取引後業者なら、話が通ることもそうではなくなるため、トラブル発生要因は増える傾向にあった。それが最近は以前に比べると、相談件数が減ってきたのを実感する。市場の限界が見えつつあるということかもしれない。
次に伸びる再エネは何か?
FIT見直しによって、業界に変化が生まれるのは間違いないが、再エネが消滅することにはならない。太陽光発電以外をみると、まだまだ普及の余地は残されている。
取材過程で耳にした風力発電の話を紹介しておこう。国内大手の風力発電事業者の声だ。
「太陽光は設備利用率が風力の半分から3分の1で、しかも広大な土地を使うので欧州や日本では主力電源にはならないと思います。一方風力は発電コストが下がってきていて、火力発電と同等のレベルまできているので、各国で主力電源となってきています。固定価格買取制度(FIT)は導入政策なので、導入が進みコストが下がれば廃止される運命にあります。
このような経済性と制度の変遷のなかで風車メーカーも事業者も変遷が起こります。日本には風車をつくる実力はあり、三菱重工の風車はかつて世界のベストセラー機の1つでした。ほかに日立や日本製鋼所が風車をつくっていましたが、日本の政策はほかの先進国と違っていたために産業が成長せず、どこも撤退しました。日本の風力はこれから本格的な発展の時期に入ります。洋上風力では新規参入を狙う会社が現れており、海外の事業者も事業機会を狙っています。また今後再編成が起こるでしょう」FITはかたちを変えて存続するのか。それとも、廃止されるのか。政策に左右される事業であるだけに、どう転んでも起き上がれる選択が経営者に求められる。
(了)
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