アンチ・エイジングからリバース・エイジングへの発想転換(前編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年7月12日付の記事を紹介する。
わが国は、世界に冠たる長寿大国である。105歳まで現役医師として活躍された日野原重明先生とは生前ご一緒する機会が何度もあったが、その旺盛な好奇心には毎回驚かされた。「大事なことは何でもよく噛むこと」との教えは今も脳裏に刻まれている。食べたり、飲んだりするものに限らず、目や耳にするニュースや情報もよく噛むこと。「最低でも30回は噛みなさい」と教えられた。
いずれにせよ、日本人の平均寿命は年々伸び続け、女性はほぼ90歳で、男性も80歳半ば。実に喜ばしい限りであるが、この種のデータには常に落とし穴も隠されている。それは平均値の恐ろしさということでもある。100歳を超えても元気な高齢者がいる一方で、40代、50代で過労死やストレス死に襲われる日本人も増えている。個人差の大きさにも注目する必要があるだろう。
また、見過ごされがちだが、我が国では自殺者も決して少なくはない。毎年3万人近くが自ら命を絶っている。しかも、変死者の数は毎年15万人に達するというから驚く。国際機関では変死者の半分を自殺とカウントするが、日本ではそうしていない。もし、世界基準に合わせれば、「日本の毎年の自殺者は3万人プラス7万5,000人で10万人を超える」ことになり、世界有数の「自殺大国」となってしまう。長寿大国のイメージを守るために、統計上の操作が行われているといっても過言ではない。
アメリカといえばファーストフードの普及がすさまじく、脂肪分の取りすぎで肥満や糖尿病に苦しむ人々が多い。ところが、意外にも人口比で見れば日本より100歳以上の高齢者が多いのはなぜだろうか。また、それ以上に注目すべきは現役で活躍中の高齢者の数はアメリカの方が圧倒的に多い点である。この社会的違いはどこから生じているのだろうか。
答えはアメリカで急成長を遂げているアンチ・エイジングの発想にありそうだ。わが国では「抗加齢」と訳されているが、医学やナノテク技術の飛躍的進歩により、身体機能や細胞のメカニズムが遺伝子レベルまで踏み込み科学的に分析できるようになってきた。であるならば、「老化や加齢も一つの疾患」と捉え、予防や治療によって克服していこうという発想が生まれた。その最先端を行くのがアメリカである。
これまでアメリカンドリームの象徴といえば、庭付きのマイホームを手に入れることであった。ところが、2007年夏に巻き起こったサブプライムローン危機の煽りで、住宅を失う人々が急増するようになった。また、成功のバロメーターとして富(マネー)を求める人々がウォールストリート発の金融パニックで地獄を見てしまった。いずれにせよ住宅や金銭中心という価値観から、より普遍的な価値観を模索する人々が増えてきた。この社会的価値観の変化の源が健康なのである。
※続きは7月12日のメルマガ版「アンチ・エイジングからリバース・エイジングへの発想転換(前編)」で。
著者:浜田和幸
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