アスクルとヤフー、個人向け通販「ロハコ」をめぐり対立 ソフトバンクの子会社化で「ヤフーが変わった」(後)
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ヤフーはソフトバンクの子会社、ペイペイはソフトバンクグループが直轄
ソフトバンクグループの(SBG)の国内通信子会社ソフトバンクは18年12月19日、東証一部に上場した。ソフトバンクグループは事業再編へ動く。
ヤフーは19年4月25日、10月1日付けで持株会社制に移行し、社名を「Zホールディングス」に変更すると発表。「オンラインとオフラインを融合した情報化社会の実現に向け、(ヤフーの頭文字の)YからZへとモードを切り替えていく」。川辺健太郎社長は社名変更の理由をこう説明した。
持株会社傘下に、広告や検索などのインターネット関連事業を運営するヤフーと、ジャパネット銀行などを統括する金融持株会社をぶら下げる。
ソフトバンクは19年5月8日、ヤフーを連結子会社化すると発表。約4,565億円を投じ、出資比率を12.08%から44.64%に引き上げる。ヤフーの親会社はソフトバンクグループからソフトバンクに交代した。
ソフトバンクの宮内謙社長は「これまで兄弟会社として協業してきたが、兄弟と親子では違う」として、ヤフーに役員を派遣。共同展開する非通信サービス事業を伸ばす。
その中核に位置するのが、両社が共同で出資するスマホ決済のペイペイ(東京・千代田)。ペイペイは同日、ソフトバンクグループから460億円の出資を受け入れると発表した。出資によりソフトバンクグループはペイペイの株式の50%を所有する。ヤフーとソフトバンクの出資比率は各50%から25%になる。ペイペイはソフトバンクグループの直轄になる。
孫正義氏の狙いは、ペイペイを核とするアリババ化
ソフトバンクグループの総帥、孫正義会長兼社長は、一連のグループ再編で何を狙うのか。
孫氏には出資した中国のネット通販最大手アリババ集団の成功体験がある。アリババの事業モデルは、スマホ決済「アリペイ」を入り口に、ネット通販や金融サービス、各種の生活サービスに導かれる仕組みになっている。
ソフトバンクグループは、アリババの事業モデルを取り入れる。スマホ決済「ペイペイ」を入り口に、ネット通販や金融サービスに導くというものだ。そのため、ペイペイをソフトバンクグループの直轄事業にして、通信子会社ソフトバンクがヤフーを子会社にした。
ヤフーの個人向けネット通販は、アマゾンジャパンや楽天に大きく差を付けられてきた。アマゾンや楽天に追いつき追い越すためにアスクルの個人向け通販「ロハコ」を欲しいのはそのためだ。規模を追わないロハコ事業に物足りなさを感じているソフトバンク=ヤフーは岩田彰一郞社長の更迭を決断した。これが、アスクルとヤフーの泥試合の真相だ。
岩田氏は経営の独立性を奪われたヤフーについて「かわいそう」と同情している。ソフトバンクグループの事業再編のトバッチリを受けたという無念が、社長を追われる岩田氏の心境だろう。
(了)
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