2024年12月22日( 日 )

【新展開】宇久島・傷害致死事件で不起訴処分の男性に「不起訴不当」~長崎検察審査会が議決

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Nさんが亡くなった現場。長崎県警は「真っ暗な場所だった」とするが、実際は複数の街灯が煌々と照らす、むしろ「夜にしては明るい場所」だ。

■不起訴不当「暴行によって被害者は死に至った」

 昨年9月に佐世保市宇久町で同僚男性Nさん(当時56歳)を暴行して死なせたとして傷害致死容疑で逮捕された福岡市在住の男性I(52)を不起訴とした長崎地検の処分について、長崎検察審査会が7月25日、「不起訴不当」と議決したことがわかった。

 Iは九電工の契約社員(当時)で、事件当時は九電工が宇久島で進めているメガソーラー(太陽光発電)事業の現地担当者として、宇久島の宇久平港そばにある宿舎「宇久島宿」で被害者のNさんらを含めた4人で共同生活を送っていた。

 Iは傷害致死容疑について正当防衛を主張し、長崎地検は「起訴するに足る証拠がなかった」として4月4日、嫌疑不十分で不起訴にしていた(関連記事)。これについて検察審査会は「暴行によって被害者は死に至った」「ただちに病院へ搬送するなどの措置を講じていない」などと指摘し、長崎地検は「議決内容をふまえ、再捜査して処分を決める」としている。

■「父が亡くなった状況について、何もわからないまま」(被害者の息子)

 長崎検察審査会に不起訴処分の不服申立をしたのは、被害男性Nさんの親族ら。不起訴処分が出された4月中に不服申立を起こしていた。親族の1人であるNさんの息子は「父が亡くなった状況について、何もわからない状態のままで事件が終わってしまった。少しでも事件のことを知りたいと思い、不服申立をした」と話している。

 この傷害致死事件は発生当時、地元民放局などで次のように報じられていた。

 〈2018年9月16日配信〉=同僚の男性を殴るなどして死亡させた疑いで佐世保市の男が逮捕されました。傷害致死の疑いで逮捕されたのは佐世保市宇久島の派遣社員I.S容疑者(51)です。

 警察によりますとI容疑者は今月11日宇久島の宿舎で同居する同僚のNさん(56)に殴る蹴るなどの暴行を加えて転倒させ死亡させた疑いがもたれています。Nさんは翌12日の午後2時ごろに意識不明の状態で町内の病院に搬送され死亡が確認されました。死因は頭を強く打ったことによる外傷性脳障害でした。

 I容疑者は当時、酒を飲んでいたということです。警察の調べに対しては「殴って転倒させた」と容疑を認めています。警察は2人の間にトラブルがなかったかなど暴行に至る経緯を調べています。
(註:記事の配信当時はイニシャルではなく実名報道されていた)

 傷害致死容疑で逮捕されたIは「元ボクサー」を自称し、周囲に「自分はカタギではない」と話すなどしていた人物。Nさんが亡くなった後、Iが自首したにもかかわらずなぜかすぐに釈放されていた。

 長崎県警の捜査担当者らはNさんの息子に対して「現状ではむこう(I側)が有利なので、証拠固めをするために起訴猶予で釈放した」「あくまでIの処分については保留であって、このままうやむやにすることはない。捜査を続ける」と話していたが、結局は不起訴処分に終わっていた。

 データ・マックスでは、Nさんが暴行を受けて亡くなった経緯について複数の疑惑があることから、連載で報じていた。

【特別レポート】
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