2024年12月23日( 月 )

中国経済新聞に学ぶ~中国の都市オフィスビルの空室率上昇(後)

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賃貸回収率も下降

 北京の一級オフィスビルの空室率の上昇が、賃貸料金の急速な減少圧力になり、賃貸回収率も下降している。

 6月28日、播石屹氏は自己所有の不動産を予想総額78億元(約1,270億円)で売却すると発表した。彼は21世紀経済報道の記者にオフィスビルの利益回収率は高くないので、物件を売り出す原因の1つであると断言した。「我々の不動産の利益回収率は3%だが、銀行からの借入利息は4%で、家賃利益回収率が銀行借入金利に追いつかない。ほかにSOHOは中国では当面資産が非常に単一で、主なものはオフィス用品で、売出してチョツトした別のものを準備する方がさらに良い」とも語った。

 現在中国国内の商業不動産賃貸の利益回収率はわずか2%~3%で、欧米諸国の平均資産回収率5%には程遠い。CBREのデータによると、一級都市のオフィスビルの賃貸利益回収率は基本的に3.8~4%前後との事。

 一般的にオフィスビル市場の正常な空室率は10%前後で、ある程度の上下があるのは正常な現象である。しかし、経済の低下と持続的で十分な新規供給の増加の影響を受け、一部の都市のオフィスビル市場では、はっきりした異変が現れている。アナリストの指摘では、空室率の増加と賃貸料の低下の主な原因は新規オフィスビルの大幅な増加にある。CBRE中国区研究部主管謝晨氏は、近年ある中西部の二級都市では短期間に集中して新築の供給があり、それにより空室率全体が上昇した。

 彼の理解では、全国平均の空室率は20%前後で、一部中西都市、ある華北の都市の空室率は30%、35%以上にもなった。一級都市の空室率は相対的に健全で、北京、広州の空室率は10%前後、あるいはそれ以下である。上海は相対的に高く、15%以上である。なぜなら上海のオフィスビル供給はしばらくの間、比較的潤沢な状態であるからだ。CBREの最新データによると、将来6カ月間に77万m2を超す新規増築が市場に入ってきて、空室率はさらに上昇するだろうし、賃貸料の下げ圧力も強まろうと予測している。

 2018年以来、北京インターネット金融センターの企業構成に大きな変化があり、多くのインターネット金融企業がオフィスビルから引っ越したことにより、オフィスビルに多くの空室ができた。高力国際のデータによると、2019年上半期の一級オフィスビルの純収納量は9.6万m2で、半年前の同期比では69.3%、前期比では69.6%に落ちた。

 需給下降の原因を高力国際は、昨年、インターネット金融企業の大幅な投資がオフィスビルの需給に大きく作用し、需給が井戸水のポンプのように増加したが、今年の投資は大幅に低下している。そのほかに大手企業間のオフィス統合があり、市場全体の収納量が大幅に増え、人々を驚かせたが、今年は逆に拡張がほとんど停止してしまった。このほかに、当面の経済情勢の影響が要因の1つで、都心地域のオフィスビルの賃貸料が低下しているのは、当面の経済状況をある程度反映している。

(了)


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