これから本格化する地銀の経営統合を検証する(7)
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【表1】、【表2】を見ていただきたい。地銀の海外拠点(支店・駐在員事務所・現地会社)である。
~これらの表から見えるもの~
地方銀行103行(第一地銀64行・第二地銀29行)のうち、海外に支店がある銀行は11行(第一地銀10行・第二地銀1行)で、17支店となっている。
海外に駐在員事務所がある銀行は40行(第一地銀37行・第二地銀3行)で、96カ所に現地事務所(第一地銀91・第二地銀5)。現地法人がある銀行は3行(いずれも第一地銀)。
海外に支店がある銀行の自己資本比率は国際統一基準の8%以上を適用されるが、11行とも大きくクリアしている。国内においてのみ活動する国内基準行の自己資本比率は4%以上を求められている。海外駐在員事務所には規制はなく、国内基準の4%以上あれば、海外に連絡事務所を設置することができる。
(1)海外支店について
海外に支店がある銀行は、11行(第一地銀10行・第二地銀1行)となっている。
・米国のニューヨークに支店がある銀行は千葉銀行、静岡銀行、群馬銀行の3行。ブリュッセルに
静岡銀行。静岡銀行は3つある支店のうち、米国に2カ所の支店を出している。
・英国のロンドンは千葉銀行。
・韓国の釜山に山口銀行。徴用工やホワイト国除外問題で日韓関係はぎくしゃくしており、厳しい状況にあるものと推察される。
・中国の香港には千葉銀行、静岡銀行、中国銀行、八十二銀行、北國銀行の5行。上海には横浜銀行。青島、大連の2カ所に山口銀行。南通に第二地銀の名古屋銀行が支店を出している。地銀は中国に最多の9支店を出しているが、米中の貿易戦争が長引けば大きな影響を受けることになりそうだ。
・シンガポールには北國銀行と伊予銀行の2行が支店を出しており、地銀の支店は合わせて17支店となっている。
(2)海外駐在員事務所について
支店は出していないが、海外に駐在員事務所を一番多く出しているのは福岡銀行で8カ所。次が北陸銀行で6カ所。以下、常陽銀行、十六銀行、京都銀行、西日本シティ銀行の4行が、それぞれ4カ所に駐在員事務所を置いている。
(3)現地法人について
・静岡銀行はベルギーのブリュッセルに「欧州静岡銀行」。群馬銀行は香港に群馬財務有限公司(銀行)を設置している。
・きらぼし銀行は上海に100%出資の上海コンサルティング会社を設置している。銀行業ではないため、自己資本比率は規制を受けることはなく、連結自己資本比率(19/3月期)は国内基準の8.86%(前期比▲0.19%)となっている。
<まとめ>
地銀103行のうち、海外に支店がある銀行は11行。しかし、福岡銀行、西日本シティ銀行、肥後銀行、鹿児島銀行など、九州地銀の有力行は海外に支店を出していない。支店を出せば国際統一基準の自己資本比率8%以上の制約を受けることになる。今は国内基準の自己資本比率のまま、生き残る道を模索しており、ふくおかFG、西日本FH、九州FGを中心に、九州地銀の経営統合は、今後ますます加速することになりそうだ。
(了)
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