海洋資源大国・日本の生きる道:海底に眠るレアアース泥でエネルギー革命を!(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年8月16日付の記事を紹介する。
「水を制するものは、世界を制す」。これが21世紀の資源争奪戦の現実である。狭い国土に人が密集しているが、石油などエネルギー資源の乏しい国。必要なエネルギー源の9割を外国に依存する。これが「島国日本」に関する一般的な見方ではなかろうか。しかし、そうした定説を覆す可能性が出てきた。そのカギを握るのは日本を取り囲む海にある。
わが国は現在、東日本大震災が引き起こした原発事故の影響もあり、深刻なエネルギー危機ともいえる厳しい状況に置かれている。代替エネルギー源として石油、石炭、天然ガスなどの輸入を急速に拡大しているが、エネルギー価格の高騰は日本企業の国際競争力を弱めるリスク要因に他ならない。日本にとって最大の原油輸入元であるサウジアラビアで進行中の政変劇やホルムズ海峡を挟んでのイランとアメリカの対立も気がかりだ。
一方、視野を世界に広げれば、地球環境問題の解決に向けての取り組みも避けては通れない。こうした問題を創造的な観点から解決し、国際社会の安定化に貢献するために、また、「地球の公共財」と言っても過言ではない海洋資源の共同開発を積極的に進めることは、わが国にとって挑戦し甲斐のある分野だろう。
わが国は国土面積の大きさで言えば、世界第66位の38万m2に過ぎない。しかし、「排他的経済水域」という視点で見れば、日本の海域面積は国土の約12倍に当たる405万m2にも達する。これは世界第6位の「海洋大国」であることを意味している。
その点、日本にとって今後の循環型エネルギー社会の構築を模索する上で極めて有望と思われる海洋資源の一つは“藻類”であろう。というのも、地球上に存在するあらゆる創生物は藻類が行う光合成によって二酸化炭素を資源として固定化することで得られるからだ。言い換えれば、こうした過程で誕生する資源は「永遠に枯れることのない資源」に他ならない。その意味では、物質循環の象徴的な存在と言えよう。
例えば、藻類を原料としたバイオ燃料等がその好例だ。沖縄の石垣島ではミドリムシからジェット燃料に適したオイルを精製する研究、実用化が進んでいる。サトウキビやトウモロコシなどのバイオ燃料と違い、ミドリムシは食料生産と競合せず、世界的な食料価格の変動に影響を与えることもなく、逆に影響を受ける心配もない、まさに自然と調和したエネルギーと目される。
こうした発想で海洋資源の利用範囲を広げていくことは「海洋国家・日本」にとって極めて重要な意味を持つ。まさに、科学立国を標ぼうする日本としては「成長産業」として大いに検討に値するといえるだろう。今こそ日本社会の閉そく感を打ち破り、洋々たる成長産業の大海に船出するために、「海からの恵み」に感謝しつつ、その資源力の活用に日本人らしい大いなる知恵を働かせようではないか。海洋資源大国戦略で世界一を実現するのも決して夢ではない。
※続きは8月16日のメルマガ版「海洋資源大国・日本の生きる道:海底に眠るレアアース泥でエネルギー革命を!(後編)」で。
著者:浜田和幸
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