【文在寅「光復節」演説】「抑制」したのか、「悲鳴」を上げたのか!?~日韓チキンレース、序盤戦の様相は?(後)
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韓国経済の現状
韓国の毎日経済新聞(14日付け)によると、日韓経済戦争の影響で、韓国製品の日本への輸出が大幅に減少した。「昨年12月から始まった輸出マイナス行進は、9カ月目につながるのではないかという懸念が高まった」と同紙は報道した。8月10日までの輸出額は115億ドルで、前年同期比で22.1%急減した。前月比では3.1%縮小した。 「個別品目のうちでは半導体が34.2%も減少し、今月にも反騰の糸口を見出せないでいる」というから深刻だ。
同日付けの韓国・中央日報によると、13日の韓国総合株価指数市場で外国人投資家は10営業日連続の売り越しとなった。8月に入ってすべての営業日で売り越しである。昨年10月の暴落相場以降では最長記録となる。
「この期間、外国人が抜いた資金は1兆7,530億ウォン(約1,540億円)にのぼる。今後も売りが続くかどうかが注目される」というのが現状だ。このような経済界の現況が文氏の「8・15」演説に反映しているわけである。
文氏が演説しているころ、東京では菅官房長官が記者会見をした。
韓国から日本への航空便の減便措置に関する記者の質問に、同長官は中国や東南アジアからの便は増えているほか、訪日外国人観光客も増えていることを紹介し、「とくに深刻に受け止めていない」と答えた。今のところ、日韓チキンレース序盤戦の危機感は、韓国側で濃厚である。
雇用率と失業率が同時に上昇?!
15日の朝鮮日報は「韓国青年の4人に1人が事実上ニート、体感失業率は過去最高」というショッキングな記事を掲載した。
韓国政府が税金をつぎ込む短期雇用政策で労働市場がゆがめられ、雇用率と失業率が同時に上昇する怪現象が起きているのだという。
「青年層(15-29歳)の雇用率は44.1%で前年同期を0.5ポイント上回ったが、失業率も9.8%で0.5ポイントの上昇だった。7月の青年層の失業率は通貨危機当時の1999年(11.5%)以来で最も高い数値だ」と指摘した。韓国の社会不安の根源に触れた記事である。
「体感失業率」という言葉は新奇だが、通常の失業者に加えて、積極的な就職活動を行わない人、短時間しか働かないなどを含めて、広義の失業者と見なす概念だ。7月の青年層の体感失業率は23.8%で、統計を取り始めた2015年以降で最高を記録した。青年の4人に1人が事実上の失業者である。不安定な職業に就いた青年がそれだけ多いことを示しているわけだ。
(了)
<プロフィール>
下川 正晴(しもかわ・まさはる)
1949年鹿児島県生まれ。毎日新聞ソウル、バンコク支局長、論説委員、韓国外国語大学客員教授、大分県立芸術文化短大教授(マスメディア、現代韓国論)を歴任。現在、著述業(コリア、台湾、近現代日本史、映画など)。最新作は『日本統治下の朝鮮シネマ群像~戦争と近代の同時代史』(弦書房)。関連記事
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