異色の投資家、ソフトバンクグループ孫正義社長が喝!~「日本はAI(人工知能)後進国だ」(前)
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ソフトバンクグループ(G)は8月7日、2019年4~6月期連結決算(国際会計基準)を発表した。純利益は前年同期の3.6倍の1兆1,217億円となり、3カ月間の純利益としては、日本企業では最大だった。中国のアリババ集団の株式の一部売却に伴う利益を1.2兆円計上したことが大きい。一方、投資会社としての実力を示す保有株式の評価額は26兆円と前の四半期に比べて約1兆円減少した。儲けるときも、損するときも桁違い。投資家・孫正義氏が怪物たる所以だ。
「ビジョン・ファンド」第2号を12兆円で立ち上げた
「私はAI(人工知能)革命の指揮者になりたい」。6月の株主総会で、ソフトバンクGの孫正義会長兼社長はこうぶち上げ、壮大なビジョンを実現するために始めた投資ファンド事業で、「ビジョン・ファンド」の第2号を立ち上げた。
ソフトバンクGはサウジアラビア政府系ファンドなどと2017年に1号ファンドを設けた。投資期間は5年。AI分野の新興企業約80社に出資して、2年で出資枠をほぼ使い切った。そこで、2号ファンドの組成に踏み切った。
2号ファンドの規模は約12兆円。そのうち約4兆円をソフトバンクGが出資。米アップルやマイクロソフト、台湾の鴻海精密工業、国内外の金融機関も資金を拠出する。
孫氏の独演会を紙上で再現
8月7日の決算発表での孫氏の会見はネットで放映された。孫氏はこう語っている。
2号ファンドの投資開始時期について、「投資はかなり近いうち、9月か10月から始まる。まず先に自ら約4兆円の投資の意思決定をした。参画する会社が決まったら、その分から投資が着々と始まる。20年3月期中に5~6社の上場がある。来年度は10社くらい上場すると思う。再来年はもっと増える。毎年、上場組が続々加わるので、それらを中心に一部を現金化する」
投資先について、「今、エンジンをふかし攻め続けているのはAI(人工知能)についての投資だ。この2年で82社のユニコーン(注:企業価値が1,000億円超の未上場企業)を傘下にもつことができた。交通から物流、医療、不動産や金融などいろいろな分野にまたがるが、たった1つのことに投資している。それがAIだ」
今後のあるべき姿について、「投資会社としての当社には売上高も営業利益も意味ある数字ではない。今後も四半期ごとに上がったり下がったりする。一番意味のある数字は、保有株式(26兆円)-純負債(5兆円)=株主価値(21兆円)のみだ。株主価値は約20年間、一貫して上がり続けている。これからは、ビジョン・ファンド一本と言っても過言ではない。」
会見では、問題視されている親子上場について質問が出た。「多くのメディアは勘違いしている。親子上場は欧米で禁止されていないし、事例もたくさんある。最近、案件は増えている。たとえばスプリント。ソフトバンクがアメリカで上場させている状況。Tモバイルやシーメンス、フォルクスワーゲンも同様だ。国をまたいではいるが、最近の報道は事実とは異なる。親子上場を理由に投資しない人はそうすればいいだけだ。」
アスクルの問題で「裏で糸を引いたとか、忖度させた覚えはない」と孫節を炸裂させたのはこの時だ。
(つづく)
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