【虎党記者の食べある記】柳川で創業300余年、老舗の味を堪能〜元祖本吉屋本店
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先日、取材を兼ねて福岡県柳川市を訪れた。柳川市といえば、かつて城下町として栄え、城下のいたるところにつくられた掘割(ほりわり)と呼ばれる水路を舟に乗ってめぐる「川下り」と、多くのお店が軒を並べ味を競い合う「うなぎ」が有名だ。
この日は時折雨が降る生憎の天気のため、あえなく川下りを断念。せめてうなぎだけでも堪能したいとの想いから市内を車で走っていると、「元祖本吉屋」という看板が目に入った。
老舗の風格堂々と
通りを右に曲がり、細い路地をしばらく走ると、右側にみえてきたのは料亭か旅館を思わせる日本家屋の建物。車を駐車場に停め、入口付近に立つと、暖簾に「うなぎ」の文字が・・・。
老舗の風格と高級感漂う入口に圧倒され、思わず暖簾をくぐることをためらいそうになった。しかし、「この店で間違いない」という直感から再び歩みを進め、お店の暖簾をくぐった。
暖簾をくぐると、仲居の女性が笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。入口には記者のほかに家族連れと思われる数名。程なくして、家族連れとともに中へ案内された。
案内されたのは「大広間」と呼ばれる一角。どのテーブルからも中庭が見渡せる絶好の席だ。
お茶を啜りながら献立を一通り眺めた後、看板メニューである「せいろ蒸し」を注文することにした。
まさに至高の芸術品
注文を終え、待つこと数十分。ようやく記者のテーブルにせいろ蒸しが運ばれてきた。目の前に置かれた瞬間、湯気とともにほんのり焼き色のついたうなぎの香ばしい匂いが辺りに漂っていた。
この日は朝から何も口にしておらず、お腹が空いていたので、いつもならすぐに口に掻き込むところだ。しかし、目の前に置かれた朱塗りの蒸し箱に敷き詰められたせいろ蒸しは、さながら芸術品のようだった。熟練の職人によってつくられた芸術品を美術館で眺めるかの如く、しばらくの間、湯気が上がる様子を眺めていた。
見た目を十分に楽しんだ後、いよいよ箸を手に取り、口のなかに運ぶ。丁寧に蒸されたうなぎはふっくら上品な仕上がりで、ほろりと口のなかでほどけ、同時に口の中いっぱいに炭の香りと香ばしさが広がっていくのが分かる。ご飯とタレの愛称も抜群だ。金糸卵は脇役ながらもほんのり甘みが感じられ、それでいて主役であるうなぎの邪魔をしない。一口食べ終わってからも、しばらくの間、余韻が口のなかから消えることはなかった。
いつまでも口に残る余韻が忘れられない
以前、中洲ちんやで焼肉ランチを味わった際は、肉と御飯を「掻き込む」ようにして口に運んだが、この日のせいろ蒸しはまったくの別物。まるで宝石を取り扱うように、一口一口を大事に口に運び、噛みしめながら味わった。
相応の値段ではあったが、「この店で間違いない」という直感は正しかった。食事を終え、店を後にしても、一日中、口のなかでその余韻が消えることはなかった。普段使いで利用するのはなかなか難しいが、今後観光で訪れる際には、また行ってみようと思う。
【長谷川 大輔】
【店舗データ】
店名:元祖本吉屋本店
住所:福岡県柳川市旭町69
TEL:0944-72-6155
営業時間:午前10時30分~午後9時(ラストオーダー:午後8時30分)
定休日:月曜日(日曜以外の祝日は営業)関連キーワード
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