2024年12月25日( 水 )

九州地銀(18行)の20年3月期(19年6月期)決算を検証する (6)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀の20年3月期の親会社に帰属する当期純利益順位表である。

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~この表から見えるもの~

(1)九州地銀18行の当期純利益(予想)順位表について

 20年3月期の当期純利益1位は福岡銀行。前年比▲13億800万円の490億円(▲2.6%)を予想している。19年6月期の当期純利益は114億7,200万円で、達成率は23.4%となっている。

・2位は西日本シティ銀行。20年3月期の当期純利益は前年比▲19億7,000万円の180億円(▲9.9%)を予想している。19年6月期の当期純利益は40億5,900万円で、達成率は22.6%。

・3位は九州FG傘下の肥後銀行と鹿児島銀行の2行で120億円。肥後銀行の当期純利益は前年比▲4億9,500万円。鹿児島銀行は前年比▲2,400万円となっている。19年6月期の当期純利益は肥後銀行が54億8,600万円(▲4.0%)で達成率は45.7%。鹿児島銀行は36億800万円(▲0.2%)で達成率は30.1%。

・5位は宮崎銀行。前年比21億2,900万円の76億円。19年6月期の当期純利益は21億9,900万円で達成率は28.9%。

・6位の大分銀行以下、北九州銀行、親和銀行、佐賀銀行、10位の熊本銀行までの5行が、当期純利益10億円以上を予想している。

・当期純利益が前期比プラスは北九州銀行だけで、残り17行はマイナス予想となっている。十八銀行はふくおかFGとの経営統合にともなう経費処理で▲59億円を予想している。

 (2)九州に本社を置く金融グループの20年3月期の当期純利益(予想)順位表について

 1位はふくおかFGで、1,585億円。4月1日に十八銀行と経営統合し傘下行としたため、1,174億3,300万円の「負ののれん発生益」を計上している。企業の純資産に比べ、買収額が割安だった場合、差額を利益とする会計(処理)したことによる。そのため、19年6月期の親会社に帰属する当期純利益は1,286億7,000万円となり、目標達成率は81.2%となっている。

・参考として掲載しているように、特別利益を除いた当期純利益は前年比▲105億8,200万円の410億6,700万円(前年比▲20.5%)と大幅な減益予想となっている。19年6月期の当期純利益は、112億3,700万円で、達成率は27.4%。

・2位は昨年3位だった九州FG。前年比5億9,800万円の228億円(前年比(2.7%増)。19年6月期は73億9,500万円で達成率は32.4%と好調に推移している。

・3位は西日本FH。前年比▲18億9,900万円の210億円(前年比▲8.3%)。19年6月期の当期純利益は51億9,800万円で、達成率は24.8%。

・西日本FHと九州FGの当期純利益目標は九州FGが18億円高い。19年6月期の当期純利益は九州FGが21億9,700万円上回っており、両社の今後の収益動向を注視していきたい。

 【表2】、【表3】を見ていただきたい。九州地銀18行の金融再編予想図である。

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~この表から見えるもの~

 全国の地域経済は衰退し、地域経済に依存する地銀の経営は厳しさを増しており、経営統合が急速に進んでいる。九州も例外ではなく、九州地銀も経営統合しないと生きていけない状況となっている。

・4月にふくおかFGと十八銀行が経営統合。来年10月1日に十八銀行と親和銀行が合併して十八親和銀行が発足し、九州地銀は17行となる。

 九州は7県あるが、人口の減少や地域経済の衰退により、道州制の導入を視野に入れた経営統合が進むものと予想されている。新たに金融グループを創設することはなく、ふくおかFG、九州FG、西日本FHの3社の傘下に入ることになりそうだ。

 ふくおかFGとの経営統合が予想される銀行は大分銀行と福岡中央銀行。

・大分銀行は北部九州に位置しており、福岡県の地域経済と密接な関係を保つことができる。

・福岡中央銀行は歴代頭取が福岡銀行出身者であり、密接な関係がある。ただ、福岡銀行と店舗が重なっており、傘下行となると合併して福岡中央銀行の名が消えることが予想される。

九州FGとの経営統合が予想される銀行は、宮崎銀行、筑邦銀行、佐賀銀行の3行。

・宮崎銀行は、鹿児島県・熊本県と密接に地域経済がつながっていることによる。

・筑邦銀行および佐賀銀行の場合、福岡銀行と店舗が重複しており、経営統合後に合併することも予想され、生き残るための選択肢といえる。

 西日本FHとの経営統合が予想される銀行は、南日本銀行、宮崎太陽銀行、豊和銀行、佐賀共栄銀行の第二地銀4行と予想される。西日本FHの社長・会長および西日本シティ銀行の会長・頭取は歴代金融庁出身者が就任しており、第二地銀の経営実態をよく把握しているからだ。

 【表3】は経営統合した場合の金融グループの勢力図である。はたして、九州地銀の経営統合が、表のように進むかどうかを見守っていくことにしたい。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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