2024年11月24日( 日 )

日本製品不買運動の影響(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 日韓関係が非常に冷え込んでいる。日経の世論調査によると、対韓の輸出規制に賛同するという日本人の意見が7割を上回っている。一方、韓国では対韓輸出規制は不当なもので、これを撤回させるべく、日本製品の不買運動が繰り広げられている。

 今回の不買運動の原因を遡っていくと、日韓首脳の感情的な対立と徴用工判決問題にたどりつくのではなかろうか。

 日本政府は1965年の日韓請求権協定の際、韓国政府に8億ドルの賠償をしたので、それですべての賠償は解決済みという立場をとっている。しかし、韓国政府は、それは政府レベルの話であって、個人請求権まで政府が奪うことはできないという認識に立っている。

 日本政府としては、今回の韓国政府の主張を認め、個人請求権を容認してしまうと、結果的に中国、東南アジアに対しての前例となり、収拾がつかなくなる可能性があるため、どうしても、そのような事態は避けなければならない。そのため、韓国政府と協議して、阻止したいと思っている。

 一方、韓国の文大統領は、国民の支持を維持するためにも、日本に対して卑屈な外交はしたくないし、韓国は国民1人あたりのGDPで日本と肩を並べるようになったので、これからは日本との関係も見直す必要があると思っている。日本政府としては、韓国政府と協議して、一日も早く、この問題を解決したいが、一向に韓国政府がそれに応じないので、日本政府の堪忍袋の緒が切れているというのが実情だろう。

 韓国の司法省の判決で、日本の民間企業の財産が売却されようとしている。日本政府はそれを放置している韓国政府に対して、怒りが爆発しているのではなかろうか。

 これまで韓国で日本製品の不買運動が展開されたのは、1992年の慰安婦問題の時が初めてで、今回を入れると、合計6回となる。

 竹島問題、靖国参拝、歴史問題などで、日本の政治家による暴言があるたびに、韓国で日本製品の不買運動があったが、今回は今までの不買運動とも様子が違う。なぜかというと、今回は政治的な問題ではなく、身近な経済問題が発端になっているので、国民感情が爆発しているのである。

 今回の不買運動がどのように展開されていて、それは日韓両国にどのような影響をもたらすだろうか。

 昨年、753万名の韓国人が日本に旅行している。中国人の838万名につぐ2位で、旅行経費として54億ドルを、日本で消費している。とくに、北九州、大分、長崎などの地方は外国人観光客の80%~90%を韓国人が占めている。

 今まで海外の旅行先で日本が1位だったが、不買運動の影響で、東南アジアが1位、中国が2位、日本が3位となっている。沖縄、対馬などでは韓国人観光客の減少により、地域経済が打撃を受けているようだ。

 流通において、アサヒビールがコンビニで販売される輸入ビール1位の座を10年間キープしていた。今年6月の輸入額は800万ドルだったが、不買運動の影響で7月には450万ドルに半減している。

 また、ユニクロは韓国で187店舗を営業しており、5,300名の従業員数を雇用している。韓国での売上高は1兆5,000億ウォンで、世界の売上高の10分の1を韓国であげている。そのユニクロも不買運動の影響で、売上が急激に落ちている。

(つづく)

(後)

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