2024年11月25日( 月 )

関西電力の隠蔽体質は不変~渡された菓子折り、底に金貨(前)

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現代でも賄賂に菓子折りは定番のようだ

 菓子折りの底に現金や金貨――。御用商人から悪家老に賄賂として渡されるシーンは、テレビ時代劇の定番である。なんと、現代でも賄賂に菓子折りが使われていた!関西電力の原子力発電事業をめぐる、金品授受問題である。

関電社長は「びっくり」したが、突き返さなかった

 関西電力幹部らが福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で、10月2日に公表された社内調査報告書では、20人が計約3億2,000万円分を受け取っていた。

 読売新聞オンライン(10月3日付)は、こう伝えた。

 報告書や記者会見では、金品受領の具体的状況も一部明らかになった。

 現金や金貨などは、森山氏との面談や会食の場などで手土産や昇進祝いなどの名目で提供された。森山氏が関電幹部らの自宅を訪問したり、郵送で届けられたりすることもあった。

 菓子などの袋の底に隠すような形で入っていることが多かった。

 岩根(茂樹)社長は2017年、社長就任祝いとして訪問した森山氏と面談。この際、菓子折りの袋を渡され、岩根氏は会見で「後で秘書に中身を確認させたところ、お菓子とともに金貨が入っていてびっくりした」と明かした。

「読売新聞オンライン」(10月3日付)

 時代劇であれば、「越後屋、お主なかなかの悪やのう」と悪家老がカッカと哄笑する場面だ。”仕切り屋”から鼻薬を渡された関電社長は、「びっくりした」そうだ。しかし「こんなもん受け取れるか」と突き返すどころか、しっかり保存していたという。そのことのほうが「びっくり」だ。

関電の閉鎖性は断トツ

 関電についての一連の報道をみて、「関電はちっとも変っていない」というのが、正直な感想だった。戦後の企業事件史のなかで、関電は電力会社の代表選手であったからだ。

 関電は9電力中1番の原発電力会社だが、ここの閉鎖性は断トツ。次の一文を読んでほしい。

 その内部は真っ暗闇で、外からはもちろん、内部の人間にも会社がどうなっているのかさっぱりわからない。とりわけ人事は密室である。

『企業探検』(朝日新聞社)

 龍谷大学教授(当時)の奥村宏氏が、『朝日ジャーナル』に連載し、のちに『企業探検』(朝日新聞社)に収められたレポートだ。関電に取材を拒否された奥村氏は「この暗闇の王国にいま必要なのは電気の明かりである」とし、ゲーテの「もっと光を」という言葉を経営陣と社員に進呈している。

 30年以上前のレポートの「もっと光を」という提言は色あせていない。関電の隠蔽体質はちっとも変っていない。

(つづく)
【森村 和男】

▼関連リンク
・日本文明の恥~関電疑獄事件
・関電疑獄(1)~裏切り防止の「毒饅頭」

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