北洋建設総帥・脇山章治氏の次なる戦略は(10)
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九州みらい建設グループとは(6)
失敗もあるさ
M&Aがすべて順調ということはない。【失敗もたまにあるさ】ということである。脇山章治総帥は非常に住宅に拘りを持った人である。住友林業から戸建木造住宅を請けることには満足せずに自社ブランドの住宅を野心的に売りだそうとしていた。その役割を担ったのが(株)ノースパシフィックホームであった。言わば輸入高級住宅の走りの先鞭をつけようとしていた。
しかし、思うようには業績はあがらない。そこで福岡市でも数少ない高級住宅ブランドで売りだしていたメイプルホームを傘下に置いた。確かにこの会社は福岡の富裕層には一程度のファンを持っていた。北洋建設の傘下に入ったが、脇山氏が描いた満足する業績を挙げられなかった。この会社は積水ハウスの常務をしていた乗富眞則氏に譲った(メイプルホーム法人登記添付)。この乗富氏は積水ハウスを辞めた後、弊社でタマホームの常務に斡旋した経緯がある。このシリーズ後半、脇山総帥の人脈に関してレポートするが、以前から乗富氏とは面識があったようだ。タマホームの常務を辞任した同氏をメイプルホームへ迎え入れたのである。乗富氏は3月末まで社長として采配を振るい4月から会長に収まっている。この乗富氏を巡るエピソードは、脇山氏の友好を大切にする証であろう。
ただここで判明したことは脇山氏の経営マネージメント能力はダントツのものがあるが、住宅のクリエーターではないということだ。どんな天才でも3つも4つも卓越した能力を発揮できるわけがない。この苦い経験から高級住宅ブランド普及事業を諦めた。というよりも一頓挫したと思われる。割り切りの早い脇山氏は九州みらい建設グループ旗揚げに専念することになる。
拡大勧誘開始
筆者の親しいゼネコンの社長から問い合わせがあった。最近、北洋建設とタイアップして現場2件ほど共同事業を完遂したようである。「『今回、旗揚げした九州みらい建設グループと一緒に歩んでいこう』と言い寄ってきているのだが、どう思うかね?」という相談なのである。「別に悪い話ではないではないですか!!『何も子会社になれ』というわけでもなし、共同関係を結ぶことで非常にメリットがあれば加入していいのではありませんか」と返事していた。独立性の高いこの社長は、この勧誘提案に対しては『否』と回答する感触を得た。
九州みらい建設グループの旗揚げの趣意書の一部に次のような文言が鏤められている。
『グループ会社各社はそれぞれの地域において、お客様や取引業者の皆様のご支援を頂きながら歴史を積み重ねて参りました。共通の経営理念である「コンストラクションフロンティア」を掲げ、新しい建設業のあり方を推進するとともに、良質で廉価な技術提供により「身近で役に立つ会社」で、それぞれの地域の皆様のお役にたちたいと存じます。引き続きご厚情賜りますように宜しくお願い申し上げます』。
この趣意書の理念に沿って脇山総帥は九州地区では共通の経営理念である【コンストラクションフロンティア】の下に数多くの同志を結集する覚悟を決めたようである。やはり『現況の建設業界で将来は無い』という危機感の下で残りのビジネス人生を業界のレベルアップに貢献する強い意志を固めたようだ
(つづく)
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