【業界ウォッチ】ゴーストレストラン「出前館」
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「ウーバーイーツ」の参入で、フードデリバリーサービスに注目が集まるなか、国内最大のポータルサイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会は、8月22日から、新たなプロジェクト「インキュベーションキッチンTM」をスタートした。
実店舗の飲食店に比べて、低リスク・低コストで開業可能なフードデリバリー専門店形式で、事業トライアルができるプロジェクトで、同社はキッチン設備と出前館の販路、シェアリングデリバリーの配達代行機能を提供し、事業トライアルをサポートする。
まず、LENNが運営するシェイク専門店「LENN CAFE」が参画し、濃厚シェイクを販売する。
「LENN CAFE」は東京都足立区に、シェイク専門店としてリアル店舗を構えているが、本プロジェクトを通じて、今後の事業拡大に向けて、都心エリアにおけるシェイクデリバリーのマーケティング調査を主な目的として参画した。
現在、リアル店舗ではイートインとデリバリーサービスを行っているが、今後はデリバリーに特化した事業展開も視野に入れている。
これに対し出前館では、これまでに蓄積したデリバリーに関するデータを活用したサポートと、シェイクという品質管理・維持が難しいジャンルの配達ノウハウを「LENN CAFE」とともに培い、今後のシェアリングデリバリーサービスの展開に生かしていく狙いがある。
フードデリバリー専門店は、客席やホールスタッフを必要とせず、キッチンで料理をつくり、配達は配達代行サービスを利用する、「ゴーストレストラン」とも呼ばれる業態。
店舗を持つ飲食店経営と比較して、物件取得費や内装工事費などのイニシャルコストや、人件費、家賃などのランニングコストを最小限に抑えることができ、開業のハードルが低くなる利点がある。
さらに立地条件にとらわれることなく出店でき、キッチン設備と調理員、配達員さえ揃っていれば、運営することが可能となる。
飲食業界は深刻な人手不足で、スタッフの確保もままならない。本プロジェクトは起業を志す人にとっては、投資コストが少なく、リスクも低く、メリットの大きい事業スキーム。
だが、出前館に出店する多くのライバルのなかから選ばれる商品力も当然求められ、いかに魅力的なメニューを提供できるかが勝負となる。
今後、シェアリングデリバリーは、既存のリアル店舗にも影響を与え、飲食業のカタチを大きく変える可能性を秘めている。
【西川 立一】
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