殺人マンション裁判の顛末~毀損された強度・資産価値を適正な状態に戻せ!(9)
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――日本を代表する大手であるK建設は、なぜ、下請業者を管理できなかったのでしょうか?
仲盛 このマンションが建設された時期は 全国的に分譲マンション建設ラッシュでした。そのために 現場に十分な人数の職員を配置できなかったのではないでしょうか。実際、この時期に建設されたマンションの多くで、水分が規定以上に多い生コン(いわゆるシャブコン)の打設や 構造スリットの未施工などの手抜き工事が集中していることも事実です。K工務店のような三流ゼネコンは、平然と手抜き工事を行い 利益を上げていたものと考えられます。
――建築主と契約を交わした元請ゼネコンは、施工の全責任を負うべきと思いますが・・・。
仲盛 その通りです。図面通りの施工を行ってこそ、適正な建物の価値となり、マンションであれば 販売価格と建物の実態が一致するのです。
耐震強度を例に取ると、構造計算による耐震強度が120%であったマンションが偽装されており 実際には105%の耐震強度しか有していなかった場合、「100%以上の耐震強度があるから安全性に問題ない」ではなく、毀損した15%の耐震強度の余裕を盗んだことと同然だといえます。
この毀損された強度は、すなわち 資産価値の減少でもあります。マンション区分所有者は、設計通りに建設された建物の1室に対して支払いをしています。耐震強度を15%も毀損したのであれば、建物の価値も毀損したことになるので、毀損した資産価値は 所有者に返すのが道理です。また、マンションを増改築する際にも強度不足が大きな影を落とします。
建物の強度が本来の設計より低いとか、このマンションのように図面に明記された梁が施工されていなければ、建物本来の価値を泥棒したことと同然です。K建設が「梁がなくても問題ない」と開き直っているのは「泥棒をしても 盗んだ物を返せば文句はないだろう」と言っているようなものです。否、盗んだ物を返していないので なおさら悪質です。横浜のマンションにおける杭打ち工事データ改ざん問題などに関して、当時(平成27年10月22日および11月20日 記者会見)日本建設業連合会(日建連)の会長を務めていた鹿島建設の中村満義会長は、日建連会長の立場で以下のようにコメントしています。
鹿島建設中村会長の日建連会長としてのコメントは立派なコメントです。このコメントと、久留米のマンションにおける鹿島建設の対応を較べると、鹿島建設の本性が透けて見えます。
このような大手ゼネコンの横暴を許せば、マンション販売業者や大手ゼネコンのやりたい放題になり、弱者である区分所有者は泣き寝入りせざるを得ません。私は ここに一石を投じたいと思っています。(つづく)
法人名
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