NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は3月8日の記事を紹介する。
トランプ第2次政権誕生以来13カ月。この間のトランプ政権の政権運営には問題が山積している。
まず、トランプ政権の対外高関税は世界経済を混乱に陥れていたが、26年2月20日、米国最高裁判所はトランプ政権の国際緊急経済権限法(IEEPA)が大統領に関税を課す権限を付与していないとの判決を下した。その結果、トランプ大統領が第2期政権早々に課したIEEPAに基づく大規模な関税は無効となった。
その結果、トランプ政権はIEEPA関税を終了させる大統領令を発出。同時に1974年通商法第122条に基づきすべての国からの輸入品に対し、10%の関税を課す大統領布告を発表した。
一方、支払い済みの関税について還付を求めることを検討している輸入業者も多く、国際貿易裁判所(CIT)は清算を命じる権限を有しているという。今後清算請求が激増するものと思われる。
そもそも、第二次大戦後のブレトンウッズ体制で世界貿易の自由化を加速させ、IMF、WB(世銀)、さらにその後のWTO(世界貿易機関)の設立など貿易自由化をけん引した米国が、トランプ政権で、貿易自由化に逆行する、貿易政策で世界経済を混乱に陥れ、「米国第一主義」でグローバルサウス諸国の経済、貿易に悪影響を与えていることは大問題で、トランプ政権の高関税貿易政策はこれらの国々の米国からの離反を加速させかねない。米国が世界経済を見据え、USA First、MAGA政策を修正することを期待する次第だ。
一方、米国の国際政治、経済面からみると、国際法を無視した、新年早々のベネズエラ攻撃、マドゥロ大統領夫妻拘束、さらには3月のイラン爆撃、イラン最高指導者ハメネイ師およびその側近の殺害など国際法上も問題視されている。
一方、トランプ大統領は少女らの性的搾取のエプスタイン事件で司法省が新たに公開した新文書で未成年時にトランプ大統領から性的被害を受けたと証言する女性の記録に対し、連邦議会の下院監視・政府改革委員会がボンディ司法長官に説明を求めるため、召喚状を送付することを決定。国内外でトランプ大統領は窮地に立っているとの見方もある。
にもかかわらず、トランプ大統領は一見強気で、次はキューバを攻撃するのは時間の問題だとうそぶいており、トランプ政権の国際法を無視した、米国一国主義はとどまるところを知らない状態にあるのははなはだ遺憾である。
<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。








