【新潟県知事選】高市政権直撃の公選法違反(片山さつき大臣の利害誘導発言)疑惑が浮上

 与野党激突の新潟県知事選(5月31日投開票)で、高市政権直撃の公選法違反疑惑が浮上していた。三選をはたした自民支持の花角知事の個人演説会(5月24日)で、自民系首長には予算優遇配分をするという主旨の片山さつき財務大臣発言を古泉こういち新潟市議が紹介。そのうえで、次のように現職知事への投票を呼び掛けていたのだ(5月27日の本サイト記事でも紹介)。

 「私はいま政令市の自民党の役員の副会長を仰せつかっています。全国で20の政令指定都市があります。そこで自民党でよく会合をしますが、一番大きなことと言いますと、(政令指定都市で)知事と市長が自民党だというのは新潟だけなのです。だからよく片山財務大臣が『新潟にはしっかりと予算をつけやすい。ぜひ、いろいろ皆様方の意見を拾ってもってきてください』という御意見をいただきます。確かに非常にこの新潟、予算をかなりいただくことができています」「そのため(予算優遇配分のため)にはどうしても花角さんに引き続き知事の席にいていただかなくては困ります」

 県民の頬を札びらで叩くような利害誘導発言とはこのことだ。自民支持の花角知事が再選されれば予算優遇配分が続くが、野党系土田知事誕生の場合はその恩恵が受けられなくなると指摘しつつ、現職知事への投票を呼び掛けていたからだ。

 公職選挙法は有権者への利害誘導を禁止しているが、本当に片山大臣がこの発言をしていれば、利害誘導罪に該当するのではないか。自民系首長がトップの住民は予算優遇配分が受けられる一方、野党系首長だと冷遇されることがまかり通れば、法の下での平等に反することはいうまでもない。そこで片山大臣に取材申し込みをして、以下の質問に対する回答を求めた。

・質問1 新潟県知事選のラストサンデーの5月24日、新潟市江南区で開かれた花角知事の個人演説会で古泉こういち市議は片山財務大臣発言を紹介しながら花角知事への投票を呼び掛ける以下の応援演説をしました。このなかで紹介されている片山財務大臣発言「(自民系知事と市長がいる)新潟にはしっかりと予算をつけやすい。ぜひ、いろいろ皆様方の意見を拾ってもってきてください」は事実でしょうか。あるいは事実無根でしょうか。

・花角知事個人演説会での古泉こういち市議の応援演説を引用。

・質問2 片山財務大臣が「(自民系知事と市長がいる)新潟にはしっかりと予算をつけやすい。ぜひ、いろいろ皆様方の意見を拾ってもってきてください」という発言をしていた場合、自民系首長がいる地域の有権者への利害誘導(予算優遇配分)を促していたことになるように見えますが、公職選挙法が禁じる利害誘導罪に該当すると思われないでしょうか。

・質問3 片山財務大臣が「(自民系知事と市長がいる)新潟にはしっかりと予算をつけやすい。ぜひ、いろいろ皆様方の意見を拾ってもってきてください」という発言をしていなかった場合、古泉こういち市議は事実ではない虚偽事項を有権者に公表して花角知事への投票を呼び掛けたことになりますが、これは問題だと思われないでしょうか。

 しかし期限(5月29日正午)までに、上記の質問に対する回答はなかった。

 片山大臣発言を古泉市議がデッチ上げた場合もあり得ると思って取材申し込みをしたが、片山大臣は無回答だった。

 そこで、選挙戦最終日の5月30日、花角知事の最終街宣を聞きにきていた古泉市議を直撃、片山大臣発言について聞くと、自らのつくり話であると答えたのだ。

 ――片山さつき財務大臣の発言、自民系首長だと予算がつくと。政令指定都市で(自民系知事と市長だと予算優遇配分を受けられる)。

 古泉市議(以下、古泉) あれは俺の話。

 ――だって、片山大臣の名前を出して「自民系(首長)だと予算がつく」と(言って投票を呼び掛けた)。片山さんが言っていたのではないか。

 古泉 言っていない。分かりやすく言った。

 ――片山さんの名前を勝手に出したのか。

 古泉 笑う。

 ――それは問題ではないか。公選法違反、虚偽事項公表罪ではないか。片山大臣に取材申し込んだのですが、文句は来ていないか。そんな発言をしていないと。(財務大臣の)片山さんが言っていない発言をよく言いましたよね。リップサービスということか。話を分かりやすくするために。

 古泉 無言。

    翌5月31日、午後8時ジャストに当確が出て万歳三唱や本人挨拶などを終えた花角知事は囲み取材に応じたが、ここでも古泉市議の応援演説について次のように聞いてみた。

 ――選挙違反をしても勝てば官軍なのでしょうか。応援演説で嘘の演説が飛び出していましたよ。(古泉こういち新潟市議が)「片山大臣が(花角知事)再選されたら予算を増やす」と嘘の演説をしたではないか。花角さん、(横で)聞いていたでしょう。嘘の(応援)演説でも勝てば官軍なのか。

 花角知事 無言のまま立ち去る。

 一方、対抗馬の土田候補にもマイク納め後の囲みで聞いてみた。

 ――花角さんの個人演説会で古泉こういち(新潟)市議が(財務大臣の)片山さつきさんの発言を引用して「自民系の首長、知事、市長のところには予算が潤沢につく」というふうに言って(花角知事への)投票を呼び掛けていたのですが、本人に聞いたら『片山さん本人が言ったことではない』と。デッチ上げの発言だったのですが、本人が自ら『適当に言った』と言っているが、こういう虚偽、嘘を言って選挙戦を有利に戦う相手陣営のやり方をどう思うか。

 土田候補 よく「国とのパイプ」という言葉は、自民系の選挙のときにはよく聞かれるが、はたして、そのパイプというのは県民のための芯が通っているパイプなのかというのは常々疑問に思っていた。なので私は県民目線の県政、県民の思いをかたちにする県政への転換という言葉をこの間の選挙戦でずっと使わせていただいたが、やはり県民の皆さまが日頃から思っている不安や思いをしっかりと政策として、当然県でできる部分は県でやるが、国にやってもらわないといけない部分は国に忖度せずにものをいう首長が今こそ必要だと思う。そういう言説には私は負けずに、しっかりと県民の皆さまに訴えていきたいと思っている。

 新潟県知事選の結果は、花角知事が土田候補らにダブルスコア以上の差をつけて三選をはたしたが、白昼堂々と選挙違反(公選法虚偽事項公表罪と利害誘導罪にあたる可能性が濃厚)をしながらの‟勝てば官軍選挙”であったことが露呈した。先の衆院選での高市首相陣営の中傷動画作成と重なり合うものがあるが、いずれも徹底追及していく必要があるのだ。

【ジャーナリスト/横田一】

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