NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は8月15日の記事を紹介する。
50年以上前の1970年代初頭、インドで始まった筆者の骨董遍歴は、ブラジル・リオデジャネイロ、サンパウロ、ペルー、パナマ、コロンビア、カナダ、ニューヨークと駐在地や出張地でも博物館、絵画館、骨董店訪問を継続した。インドでの仏像から始まった骨董収集は、ブラジルからは銅版画、家具、調度品、食器などにも広がった。
ブラジル北部のバイーアにはインドで骨董を手ほどきいただいた千住金属工業の佐藤千壽元社長のお供でサンバの原型といわれるバイーアの踊りの見学も兼ねて、骨董店訪問に同行させていただいた。その際、ブラジルの農家で500年使っていたという食卓を買い求めた。この食卓は釘を一本も使っておらず、すべて木材の組み合わせでできていた。
この食卓の輸送は2,000km離れたリオデジャネイロまでトラックで運んでもらったが、食卓よりも運送費がかさんだ。ブラジルから帰国時、パナマ運河経由で東京の我が家に運ばれてきた。この食卓を囲み、食事の際はブラジルのサンバのレコードを聴きながら、リオ、サンパウロ駐在時を懐かしく回顧している。
応接間のカーペットは、60年当時バグダッドに駐在しており、ベイルートに出張した際に購入したペルシャ絨毯とインド駐在時に買い求めたカシミールの絹・羊毛混紡の絨毯で、アラブの音楽やインドの音楽を聴きながら当時を懐かしんでいる。
ブラジルのリオ、サンパウロ駐在時に買い求めた年代物のクリスタルのワイングラスはお客さんが訪問された際に活用している。どっしりと重いワイングラスでたしなむワインのおいしさは格別である。
妻がニューヨークで買い求めたデンマークやフランス、イタリア、英国の骨董品の食器や紅茶茶碗でたしなむ食事、紅茶は格別においしく、合わせてこれらの国々のレコードで音楽を聴きながら、お客とともに当時を回顧するのもまた楽しいものである。
駐在した国々や出張を含めて訪問した80カ国で買い求めた骨董や民芸品、家具に囲まれて各国で収集したレコードやCDで音楽を聴くと外国の得意先や懇意にしていた方々を思い出す。若い頃、ビジネスでお世話になった方々や友人、さらには日本人駐在員やそのご家族を懐かしく思い出し、懐旧の念に駆られる。
その意味でも骨董や絵画、家具、食器類は私の人生の思い出の玉手箱である。これらの思い出深い骨董や家具、音楽に囲まれ、残りの人生を悔いなく生きたいと念願している今日この頃である。骨董に感謝!
<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。









