2024年11月25日( 月 )

「健康コンサル」も担う 佐賀の鍼灸師、長尾良一氏(前)

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 100年の人生を生きることは当たり前になるのか――。「人生100年時代」が来るとすれば、生き方も働き方もこれまでと変わる。「100歳現役貫徹の秘訣」と題したこのコーナーでは、さまざまな人物やトピックを取り上げ、仕事を充実させ健康増進を図るためのヒントをお届けする。今回は佐賀県唐津市で長尾治療院を営む長尾良一院長の取り組みを紹介しよう。鍼灸師である長尾院長は中国伝統医学の手法を使った独自の健康法を説き、患者の治療に役立てるだけでなく健康相談に乗っている。

長尾院長の思いと 全国から訪れる患者

 佐賀県唐津市にある長尾治療院は、院長である長尾良一氏が1980年に立ち上げた。長尾院長が施す鍼治療は「日中特種針法」と名付けられた治療法である。

 この日中特種針法が目指しているのは、鍼灸療法と西洋医学の融合である。基本的な考え方としては、1つの症状で診断するのではなく、その背景にある根本的な原因を見つけだすことを最重要視している。今なお、日本と中国の間で治療技術の交流を重ねており、両国の鍼灸師が切磋琢磨(せっさたくま)しながら治療技術の向上を図っている。

佐賀県唐津市にある長尾治療院には全国から患者が訪れる
佐賀県唐津市にある長尾治療院には全国から患者が訪れる

 鍼灸は、鍼や灸を用い身体に刺激を与えることで、さまざまな疾病への治療的な介入や健康増進を目指す技術である。それは、身体へ加えたさまざまな物理刺激による治療的経験則の集積のたまものであるといえる。

 長尾治療院には全国から患者が訪れる。よくあるのは、身体に異常が見られたため医療機関で診てもらったものの、治療の効果が表れてこないというケースだ。いくつもの医療機関を当たった後、最後にこの治療院のことを知り、治療を受けるという患者も少なくない。長尾院長に助けられ、感謝している――そんな思いを抱きながら、笑顔で帰っていく患者を筆者は幾度となく目にしている。

 長尾院長のモットーは「介護のいらない生涯を送り、最期まで親の尊厳を保つこと」である。「1人でも多くの患者さんを健康にしたい!笑顔にしたい!来院された患者さんを必ず完治させたい!結果を出さなければ」という強い思いと使命感があり、その真摯な姿勢は患者にも伝わってくる。

医者があきらめた疾病を完治させる

 では、長尾治療院で効果がみられた実例を紹介しよう。
動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)による左手切断から救われたAさん(61歳女性)

 動静脈瘻は、動脈と静脈が絡まってくっついてしまう最悪の状態が進行する。そのため、その先の血管に血が流れずに、身体の組織が死んで再生できなくなることから、Aさんは左手首切断を迫られた。

 絶望したAさんは、その不安を腰痛で通っていた長尾治療院で打ち明けた。それを聞いた長尾院長から思いもよらない言葉が返ってきた。

「僕が治してやる」

 絶望の淵から脱出できたAさんにとって、「不治の病が不治ではなくなった事実がもたらす明日への希望は計り知れない」であろう。完治したAさんは治療1カ月後に家庭と仕事の現場に復帰した。「長尾院長にはどんなに感謝してもしきれません」と語る。

糖尿病網膜症からの緑内障による失明から救われたBさん(62歳女性)

 運転免許証の更新を機に目の異常に気づいたため眼科に行ったところ、糖尿病網膜症からの緑内障と診断された。徐々に視力は衰え、わずかに明るさを感じとれるくらい。失われた視力は回復できなかった。

Bさんは長尾治療院を訪れた。失明寸前のBさんを前に、長尾院長は「完治させる」という強い意志をもって治療に臨んだ。Bさんは1週間で治療の効果を感じるようになり、今では完治して、車の運転やゴルフを楽しめるようになった。

 Bさんは「長尾院長には長生きしてもらって、たくさんの患者さんたちを治してもらいたい」と神妙な面持ちで話してくれた。

食欲不振で体重が落ちた若手経営者

 若手経営者は体力のなさに愕然となった。「自分の知らないところでストレスを溜めているのであろう」と感じていたが、的確な治療をしてくれる医師と出会えなかった。そんななか、知人の紹介で長尾治療院の存在を知り、長尾院長の治療を受けるようになった。そのおかげで食欲の回復が図られ、経営に専念できるようになった。

歩行困難な老夫婦

 遠距離から長尾治療院を訪れる歩行困難な老夫婦がいた。聞くところによると、手足のこわばりなど体の動きに障害が表れるパーキンソン病とのことだ。治療の効果が上がらなかったため、長尾治療院を頼ってきた。老夫婦の治療に訪れた際によく出くわした。みるみるうちに歩行力が回復する様を目の当たりにし、この夫婦の顔色に幸福感が蘇ってくるのがわかった。

(つづく)
【青木悦子】

<プロフィール>
長尾 良一(ながお・りょういち)

 1949年福岡県生まれ。手技療法の大家であった父・松造氏の後を継ぎ、1980 年佐賀県唐津市で長尾治療院を開業。長尾流の手技による独自の鍼灸治療を行う。現在、長尾治療院院長。1991年に日中特種鍼法研究会を発足させ会長に就任。中国遼寧省中医研究員座教授、中国雲南省中華耳針学友会名誉会長、中華人民共和国雲南省耳針研究所名誉教授など役職多数。中医学の手法を用いた有効性の高い独自の健康法を民間に普及すべく講演活動を行う。

<COMPANY INFORMATION>
長尾治療院

所在地:〒847-0014 佐賀県唐津市西城内6-7
治療内容:内科・外科・婦人科・皮膚科眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・精神科・脳神経科系
TEL:0955-72-7243
FAX:0955-74-7072
URL:http://nagao-chiryouin.jp

▼関連リンク
生涯介護のいらない人生で最期まで親の尊厳を保つ

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