北洋建設総帥・脇山章治氏の次なる戦略は(14)
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「九州みらい建設グループ」発足の真意はいかに(1)
(株)北洋建設は福岡県で、地場トップクラスの実績を誇るゼネコンである。さらに脇山章治会長は、建設業界で最大の戦略家と評される人物である。これまでいくつもの会社を支援し、立ち直らせ、グループ自体も大きく発展させてきた。今年4月、脇山氏が代表を務める(株)九州みらい建設グループが傘下に九州5県のゼネコンを収め、スタートしたことを発表した。その真意はいかに?データ・マックス社内で、緊急座談会を行った。
住友林業とアメリカ、経営者の原点
青木 九州の建設業界でも知られる戦略家が、なぜ「九州みらい建設グループ」を打ち出したのか。理論派でもあり、超合理主義である脇山会長が各県に北洋建設の支店をすでに持ちながらも、新たに福岡以外の4県にグループ企業を配するかたちを取るのか。この新戦略に関しては、容易に理解ができません。
緒方 まずは北洋建設の成り立ちや脇山会長の人柄について、知ることが必要です。「質素で謙虚に手堅く」をモットーに業歴を重ねてきた同社、そして脇山家も同じでしょう。同時にお世話になった地域社会への貢献も忘れないのも、同家の家訓であると思います。
青木 5、6年前に脇山会長の人物像に迫る、印象深い場面に出くわしました。脇山会長含め、家族で食事に向かう姿を見かけたのです。脇山会長が父親を抱えて、お店に向かっていたのです。脇山家の親子関係はそれまで多くは耳にしませんでしたが、その場面を目にして、家族の絆を大切にする良好な関係だと知りました。社会福祉法人にしても、古くから事業に取り組んでおり、先見の明以上に、社会に必要なことをほかに先立って行う姿勢も今に通じるのかもしれません。
緒方 脇山会長の経歴や人柄に触れてみようと思います。慶応高校から慶応大学に進学しており、地元に強いつながりを持っていたわけではありません。その後、住友林業に入社し、物流資材を扱いますが、転機が訪れます。日本を離れ、シアトルに派遣され、5年ほどは現地でダイナミックな物流、そして国際感覚を身に付けます。ここで、アメリカナイズされた合理的な思考を持つようになったのでしょう。住友林業、そしてアメリカ。これが同氏を知るうえでキーワードになりそうです。
披露する場面には出くわしませんでしたが、英語は使いこなせるはずですね。たしかに今でも年に1、2回は渡米していると聞きます。これが同氏の経営者としての原点になるでしょう。青木 ゼネコンや請負工事を敬遠していることについては、こんなエピソードがあります。同氏が帰国した1980年代前半のことです。その頃は、建設業では今よりも政治が非常に力を持っていました。松本組の2代目、松本英一氏が国会活動から福岡へ戻ってくるときに、飛行場に福岡の建設業界の重鎮らが出迎えていたそうです。そして、そこに来ていないメンバーが誰なのかがチェックされていました。それを目の当たりにし、30代後半、そしてアメリカ帰りの同氏はショックを受けたそうです。
東城 「どうして、ここまでしないといけないのか」。たしかにそのショックは大きそうですね。でもそれを機に、請負業以外のビジネスモデルをつくらねばならないと考えたのですね。リフォーム業なども、これが原点にあるのでしょう。
(つづく)
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