武漢コロナウイルスの周辺(後)
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バイオセーフティーのレベルが高いほど、ウイルスの漏洩を防ぐための管理が厳重になる。きちんと管理されている限り、武漢での漏洩の可能性は北京より低い。
しかし同時にいえるのは、今回の新型ウイルスが発症前の潜伏期間中に他人に感染してしまうため、潜伏期間中の感染が見られていないSARSウイルスに比べ、所員の感染を検知しにくいことだ。
ウイルス研究界は、所内の感染にとても敏感だ。SARSを経験した中国のコロナウイルス研究は世界的に高い水準で、研究者の多くは米欧研究所での経験も積んでいる。
しかしそれでも、今回のウイルスなら、研究所が漏洩に気づいた時にはすでに街中に感染が広がり始めている、といった大惨事があり得る。この大惨事は、まさにいま武漢で起きていることに近い感じがする。こうした考察を経ると、自然発生(野生市場経由)の可能性と同じくらい、人為発生(研究所から漏洩)の可能性があることがわかる。
(参考:Did the deadly Wuhan Virus escape from Wuhan National Biolab, one of the world’s most dangerous viral research facilities?)
人為発生(研究所から漏洩)の可能性を前提にさらに考えると、人為発生が真相であり、それを中共中央が知ったとしても、それが公式化せず、その後もずっと「野生市場経由の発生」が定着していく可能性がある。
今回の新型ウイルス拡大が研究所からの漏洩によるものだったとして、それを公表してしまうと、医療や科学の研究全般に対して中国が近年積み上げてきた信用が世界的に崩れ、習近平を含む中国共産党全体の責任になりかねない。
武漢の野生動物市場の訪問者に初期の感染者が多いことが発表されているが、人為発生が真相な場合、これは歪曲された目くらましかもしれない。
(参考:Public Anger Rises As China State Broadcaster Exposes "Good For Nothing" Local Officials)
人為発生であったとしても、中共上層部の意図として行われた可能性はない。自らの権威をできるだけ高めたい習近平が、自分を陥れることをやるとは思えない。何者かが武漢の研究所からウイルス漏洩を意図的に引き起こしたのだとしたら、それは中国側でなく米国側だ。
トランプ大統領と軍産複合体は、それぞれが正反対の意図で、中国と米国の関係を、協調から敵対へ、密接関係から関係分離・デカップリングへと転換しようとしてきた。トランプは、中国を米国から分離しつつ強化して覇権構造を多極化しようとしている。軍産は、中国を米国から分離しつつ弱体化して冷戦構造と米覇権体制を再生しようとしている。トランプは、従来の世界支配層だった軍産の一部になっているふりをしつつ、軍産の支配構造を破壊している。
(参考:Coronavirus has put globalisation into reverse)
(見かけ倒しの米中貿易協定http://tanakanews.com/200125china.htm)トランプも軍産も、中国と米国との関係を経済政治の両面でデカップリングさせたい。
そして今回の新型ウイルスの発生は、米中のデカップリングを劇的に進めている。これを意図的にやった勢力が米国にいるなら、新興勢力であるトランプ系でなく、昔から中国にスパイを置いている軍産だろう。
今回のウイルス事件でいうと、たとえば米国の大学に滞在中に軍産に脅迫勧誘されて米国のスパイとなった中国人研究者が武漢研のなかにいて、その人物がウイルス漏洩を誘発したとかいったことが考えうる。考えることは可能だが、実証は不可能だ。非現実的な感じもする。たとえ中共中央がスパイの存在は把握していたとしても、永久に真相は公開されない。
どちらにしても、野生市場経由の自然発生説が公式説明として定着する。そうならない場合、改めて考察する。
(参考:Coronavirus looks as if tailor-made to achieve US objectives: Scholar)
その他、ネット上の英文情報のなかには、今回のウイルスが意図的な人為発生であるという指摘がいくつかある。それに対する検証も興味深いのだが、それは改めて書くことにする。
(参考:Bats, Gene Editing and Bioweapons: Recent DARPA Experiments Raise Concerns Amid Coronavirus Outbreak)
(参考:Coronavirus Contains "HIV Insertions"、 Stoking Fears Over Artificially Created Bioweapon)
(参考:China and Viruses: The Case of Dr. Xiangguo Qiu)(了)
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