新型肺炎急増~韓国で広がる不安と恐怖(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国では新型コロナウイルスの患者が急増しており、国民の間で不安が広がっている。3月1日現在、患者は1日で376名追加の3,526名となり、患者数はすでに3,000名を上回った。死亡者は18名。韓国政府は国家の危機警報を最高段階の「深刻」へ格上げした。この措置により、全国に7カ所あった災難状況室は18カ所に増やされ、患者と接触した人の所在の把握に努めるなど、韓国保険当局も感染の拡大防止に全力を尽くしている。
連日数百人単位で患者が増加しているため、政府も国民も今後の推移に神経をとがらせている。実際、新型コロナウイルスに対する不安と恐怖は、実生活にも影を落として始めている。
30数カ国で韓国の旅行客の入国が拒否されているし、その拡大が心配されている。筆者は今週末、スリランカからの来賓を迎える予定だったが、キャンセルを余儀なくされた。海外旅行のキャンセルも相次いでおり、旅行代理店の売上高は8割減少したという。
筆者は数日前に韓国南部の地方都市・光州に行ってきた。日本の新幹線に当たる韓国のKTXに乗ったのだが、乗客は3分1にも満たなった。もし、患者2,569名が発生し、韓国の新型肺炎の震源地となっている大邱を訪問したとすると、2時間ごとに所在把握のため災難状況室から電話がかかってくる羽目になる。
韓国では日常生活レベルにおいても徐々に新型コロナウイルスの影響が出始めている。このような状況が長期化すれば、世界経済に与える悪影響は、世界金融危機の時より、甚大なものになるという警告が発せられている。
現在、新型コロナウイルスがパンデミックになることを非常に警戒されている。そのようなことを防ぐべく、世界の科学者は知恵を絞っている。動物から人に感染したとされる今回の新型肺炎だが、人から人への感染が始まっていて、感染のしかたなどを突き止めようと、世界の医療陣は全力を尽くしている。しかし、人から人への感染が急激に拡大されれば、予想を大きく上回る事態を招きかねないと専門家は警鐘をならしている。
それでは、韓国でなぜ急激に患者が増えることになったのか、その背景を探ってみよう。1月20日に初の感染者が韓国で確認されて以降、2月15日まで新型コロナウイルスは小康状態を保っていた。2月15日頃前後には5日間連続で患者は発生せず、患者の治療率も30%を上回った。疾病対策本部では韓国でこれ以上の感染はないだろうと判断し、新型コロナウイルスは間もなく終息するだろうと判断し、今後は海外に注意をすればよいと思っていたようだ。
ところが、2月19日から突然患者が急増し始めた。その日、韓国の南東部にある大邱(テグ)で国内31番目の感染者Aさんが確認された。Aさんは交通事故で大邱市内のある病院に入院した後、新型コロナウイルスと疑われる症状があったにもかかわらず、医師が検査を受けることを勧めたが、それを断った。さらに、Aさんは入院中の病院をこっそり抜け出し、大邱市内で食事会や宗教団体の礼拝に出席するなど、多くの人と接触していたことが判明した。
(つづく)
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