2024年12月23日( 月 )

新型肺炎急増~韓国で広がる不安と恐怖(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 感染ルートを突き止めるため、大邱市が礼拝に参加した人たちを対象に検査をした結果、19日当日だけで、およそ14人の感染者が確認されるなど、Aさんが訪れた場所を中心に、大邱市内のいたるところで、新型コロナの感染者が続出する事態となった。結局、現在、計3,526人の感染者のうち、3,083人は大邱とその隣接地域の慶尚北道で確認されるなど、大邱は韓国内で最も危険な地域になってしまった。

 このように19日を境に、韓国では1日で22人の感染者が追加され、20日に53人、21日は100人の感染者が発生するなど、感染のスピードがどんどん上がっていった。上記のように大邱地域で新型コロナ感染が多発するようになったが、そのなかでも、Aさんが礼拝に参加したとされる「新天地イエス教会」は、韓国では新型コロナウイルスの発生地として一躍注目を浴び、非難の的となっている。

 新天地イエス教会は、韓国の新興宗教団体で、信徒たちは通常、自分が新天地教会の信徒であることを隠している。新天地イエス教会は韓国宗教界では異端として判定されていたが、今まで情報があまり公開されておらず、一般人にはほとんど知られていない宗教団体だった。しかし、新天地イエス教会の礼拝の方法などが知られることによって、今回の新型肺炎の急速な拡大の原因はここであると一般国民は憤慨している。

 新天地教会では礼拝時にイスに座らず、密着して座布団の上に座っているという。さらに、激しいお祈りをするので、つばが出て、感染の温床になったという。

 また、同教会は礼拝に欠席すると、罰金を支払うことになっているため欠席が難しく、それが感染拡大に拍車をかけているとされている。さらに、同教会では偽装カフェや偽装教会なども運営して、新型コロナウイルス感染の温床になりやすいという。このため、政府当局は新天地イエス教会の礼拝に参加した信徒を把握するのに大変な苦労をしている。

 31番目の感染者であるAさんは、1月31日から二日間にわかって行われた新天地教会の教祖の兄のお葬式に参加したことも明らかになっている。清道(チョンド)大南病院という病院である。中国の武漢から同教団の幹部がお葬式に参加したことにより、ここも感染ルートとして大きく注目されている。

 2月21日、ソウル市と京畿道はソウルと京畿道内のすべての新天地教会を閉鎖すると公表しており、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、新天地大邱教会や信徒について徹底的な調査を行うよう指示した。韓国では新型コロナが急激に増加し、今や国別の感染者数では日本を追い抜き、中国の次に多い国となってしまった。上記のように新興宗教団体に集団感染が発生したことで、政府の統制も利かない事態となった。

 しかし、一方では、韓国当局では1日に1万5,000人を検査できるくらい検査スピードが速いため、予想より多くの患者数が早期に見つかっているという指摘もある。新型コロナウイルスが推移はどのようになっていくのかを今後も見守っていく必要がある。

(了)

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