新型肺炎、韓国の輸出に深刻な影響(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
新型肺炎は、中国発で韓国経済にとっては大きなマイナス要因だった。ところが、新型肺炎の拡大を防止するため、世界各国が韓国人の入国制限を相次いで発表し、韓国の輸出に深刻な影響が懸念されている。
中国とベトナムについで、日本とオーストラリアが韓国人の入国を禁止すると発表した。韓国の10大輸出相手国のなかで、韓国のビジネスマンは米国を除いた9カ国に出張することができなくなったわけである。筆者も毎週海外出張をしていたが、先週は久しぶりに出張できず、国内にとどまっていた。来週も日本出張を予定していたが、キャンセルをせざるをえなくなっている。
韓国の3番目の貿易相手国である日本の場合、出張などができなくなると、素材、部品などを日本に頼っている製造企業にとっては死活問題である。緊急を要する部品の調達は、航空便を利用するか、出張のついでにハンドキャリーすることが多いが、その道が閉ざされたのだ。展示会などに参加し、バイヤーとの商談を期待していた企業にとっても、今回の措置は晴天の霹靂である。
このような流れのなか、韓国の格安航空会社は、日本路線を全面的に運休すると発表している。今回の入国制限は航空会社に限った話ではない。輸出企業にも深刻な影響を与えている。
韓国10大企業の売上高に占める海外売上高の割合は65.9%に上る。韓国GDPに占める輸出の割合は42.8%なので、10大企業の海外売上高は平均よりもずっと高いことがわかる。輸出品目の代表格である半導体の2大企業であるサムスン電子とSKハイニックスの海外売上高の売上高に占める割合はそれぞれ86.1%、97.9%で、もっと輸出の割合が高い。しかし、新型肺炎の影響で、先月の1日平均の輸出額は18億3,000万ドルとなり、前年同時期にくらべて11.7%も減少している。
輸出だけではない。航空業界はもっと深刻で、入国制限の影響をもろに受けている。アシアナ航空も1990年の日本就航以来、初めて11路線を全面運休することとなった。格安航空のエア釜山、イースター航空は9日から国際線の運航を全面中止する。
格安航空会社の関係者によると、リース料と人件費を考慮すると、一日最低でも20億ウォンの売上高が必要だが、現在一日の売上高は1億5,000万ウォンしかないという。格安航空会社の倒産が懸念される理由である。大韓航空も9日から日本路線17路線のうち、16路線の運航を中止する。今まで1週間に日本に202回の運航をしていたが、1週間7回の運航と97%縮小されることになる。
このように新型肺炎で中国をはじめ、日本、ベトナムなど韓国の主要貿易相手国の入国制限が拡大することによって、今後輸出にもっと深刻な影響が出てくることが懸念されている。筆者は日ごろから新型肺炎の脅威よりも、警戒すべきことは経済の崩壊であると周囲に言っていたが、経済活動が停滞しているなか、さらなる悪夢が忍び寄るのではないかという気がしてならない。新型肺炎の早期終息で世界経済が正常に戻ることを祈ってやまない。
(了)
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