新型肺炎緊急経済対策・消費税減税でも弱腰(守りの姿勢)~立憲民主党・枝野幸男代表の指導力不足(後)
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枝野氏はこう答えた。「いま必要なのは、たとえば、準備なき一斉休校によって仕事ができないことによって収入の道が断たれている、この人たちの生活を支えることがまず重要なことではないかと思う。フリーランスのなかには1カ月、2カ月無収入になるかもしれない状況の方がたくさんいて、手当をしなければ、生活が成り立たなくて命を失う方が山ほど今いる。そうした対応こそが圧倒的に最優先でやらないといけないことだと確信をもっている」。
ここで私は「加えて消費減税をやることについては?」と再質問をしたが、否定的な姿勢は同じだった。
「こういうこと(収入を失った人たちへの手当)のために財源を確保しないといけない。そのことが最優先のことだと私は確信をしています」。
頑なに消費減税を拒否する枝野氏だが、その言動は矛盾に満ちている。立憲フェスで消費減税の代替案として示した「給付付税額控除制度」は枝野首相が誕生した時の選択肢であり、その前提となる政権交代の可能性を高めるには「消費税5%減税」を野党共通政策にすることが必須という関係になっているからだ。だからこそ私は、立憲フェス60分対話後の会見で、次のような質問を枝野氏にぶつけた。
「消費税5%減税については、枝野代表も日頃から『大企業や金持ちからもっと税金を取るべきだ』と演説などで訴えていて、その税収アップ分を消費減税に回せば、れいわと一致できるのではないか。消費税5%減税を野党共通政策にできるように見えるのが、なぜ、それを受け入れないのか。野党との同士討ちを(共通政策をつくって)避けることが政権交代の可能性を高めると思うが」
しかし枝野氏は「野党との関係は違いを認め合って進めていくべきだという私の基本方針は申し上げた通りだ」と述べるにとどまった。
新型肺炎の緊急経済対策でも、次期総選挙の野党統一政策においても、消費税5%減税を盛り込むハードルになっているのが、守りの姿勢が目立つ枝野氏ではないのか。※そして、野党共通の緊急経済対策として消費税減税を打ち出せないなか、3月11日に自民党若手議員が消費税減税の政策提言書を西村康稔経済再生大臣や岸田文雄政調会長に提出して、安倍首相から好意的なコメントを引き出した。せっかく山本太郎代表が2月17日に提出した「新型コロナウイルス感染症対策に対する対政府要望」のなかで消費税5%減税を提案していたのに、野党全体としては自民党若手に先を越されてしまったのだ。
また枝野氏と山本氏の党首会談もいまだに実現していない。安倍政権打倒の最重要課題は、れいわ単独で100人擁立することによる“野党同士討ち”を回避、「野党統一候補 対 自公候補」という一騎打ちの構図に持ち込むことだ。今後も、枝野氏が消費減税に否定的な立場をとり続けるか否かが注目される。
※立民が「消費税5%減税」を受入れるのは難しいことなのか。枝野氏と山本氏の演説を聞き比べると、「大企業や富裕層からもっと税金を取るべき」という点でぴったりと一致。両党が共闘できない方が不思議なくらいなのだ。すぐにでも「法人税と所得税の累進性強化で税収増をはかり、5%減税の財源とする」という共通政策に落し込むことはできるようにみえてしまうのだ。
枝野代表は昨年10月20日、仙台駅前で宮城県議選候補の応援演説で大企業への課税強化を訴えた。
「アベノミクスの下で、たしかに日本を代表する大きな企業、輸出企業は過去最高の利益を出している。日本の豊かさが一部のところに偏ってきてしまったのが、この間の日本の歩みではないですか」「資本金10億円以上という超大きな企業になると、ほかの企業に比べて実際に儲けのなかから払っている法人税の水準がぐーんと下がる。大企業には特典があって儲かっても儲かっても税金を納めていない。せめて中小零細企業並みに収めてもらうのは当たり前じゃないですか」。
一方、山本氏も法人税減税の穴埋めに消費税増税分が充てられてきた実態を問題視、法人税増税で消費減税の財源を捻出することができると訴えていた。(了)
【ジャーナリスト/横田 一】
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