2024年12月26日( 木 )

外出自粛で商業施設への影響甚大〜東京・お台場周辺の今

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 東京都による週末の外出自粛要請にともない、都心にある多くの商業施設や店舗が臨時休業もしくは時短営業の措置を取った。都内有数の観光スポットであるお台場では、アクアシティお台場、ヴィーナスフォート、ダイバーシティ東京、デックス東京ビーチなどの商業施設が軒並み休業となっていた。自粛要請から一夜明けた、3月30日のお台場の様子を追った。

出歩く人の姿は数組程度

 デックス東京ビーチ内にある、昭和30年代のレトロな街並みを再現した「台場一丁目商店街」は、いつもなら春休みの中高生が多く訪れ、賑わいを見せるはずだった。しかし、臨時休校と外出自粛の影響が重なり、この日に関してはまったくと言っていいほど人の姿が見当たらない。隣接するお台場たこ焼きミュージアムも空席が目立つ。

 午後1時過ぎの飲食店街。この時間の店内はまだ利用客の姿も見え、店によっては店外で待ち並ぶ人の姿も見えるところだが、この日に限っては軒並みどのお店も閑古鳥が鳴いていた。あるお店は値引、別のお店は時間制のコースを無制限にするなどして何とか来店を促そうとしていたが、そもそも館内を歩く人がほとんどいない。店内のスタッフも手持ち無沙汰な様子で、ただただ時間だけが過ぎているように思われた。

 テラス席は目の前にレインボーブリッジが広がり絶好のスポットだが、この日はまったくと言っていいほど人の姿は見当たらず殺風景に映った。平日とはいえ外を出歩く人の姿は数組程度。

 デックス東京ビーチだけでなく、アクアシティお台場、ヴィーナスフォート、ダイバーシティ東京などの商業施設も館内を歩いている人の姿はほとんど見られなかった。フードコート内も空席が目立つ。人の往来がない分、館内では人の声よりもBGMがいつも以上に響きわたっていた。

懸念される各テナントの今後

 ある飲食店の店員は、「自粛明けで今日からお店を開けたが、昼時なのにまったく人が来ない。状況が状況なので仕方がないのだが…」と前置きしたうえで、「当初シフトに入れていたアルバイトも急遽休んでもらうことにした。4月以降の営業も先行きが見えないので、シフトはいったん白紙にしている」と話し、当面の間、切り詰めた状態で営業せざるを得ない状況であると話した。営業を続ける各テナントにとっては苦境の毎日が続く。

 商業施設の場合、売上ゼロであっても「最低保証賃料」を支払わなければならないことが多い。目先の仕入や人件費などは抑えることができるが、こうした状況が当面も続くようだと、最低保証賃料が重くのしかかる。

 前述の店員は、「テナントによってはすでに運営会社に(最低保証賃料の減額を)かけ合っているという声も聞いている」と話した。都内の商業施設では、すでにルミネ(東京都渋谷区)が、販売額が基準に満たなかったテナントの3月分を半額にすることを表明している。

 施設運営会社によってはテナント収入減になるため、例外的対応には慎重にならざるを得ないが、このままの状況が続き、その間具体的な打開策が講じられなければ、各テナントは撤退せざるを得なくなる。

【長谷川 大輔】

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