イタリアにおける新型コロナウイルスの最新状況(後)
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新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、Brexitや、アメリカからの追加関税、ドイツからの経済需要減速などが続いたことにより、イタリアが景気後退の局面に立たされたタイミングで発生した。
イタリアの一部の経済学者は、5月から経済活動が再開できると仮定しても、2020年のGDPは6~7%減少するだろうと予測している。また、イタリアの市場調査機関によると、コロナウイルスの影響によるイタリアの観光産業における損失額は、6月から段階的に回復すると仮定しても、最低180億ユーロ(インバウンド92億ユーロ、イタリア人の国内観光による88億ユーロ)に上るとみられ、真っ先に影響を受け始めている。中小企業や労働者は一刻も早い現金収入を必要としている。
イタリアやスペインなどは、この困難に欧州全体で立ち向かうため、共同債「コロナ債」の発行を求めたが、オランダやドイツが拒否。欧州中央銀行(ECB)が、深刻な危機だと警告したが聞き入れられなかった。代わりに4,100億ユーロの融資余力を有するESM(欧州安定メカニズム)による支援策についても議論されたが、イタリアなどにとっては不利になる点が多すぎるため、南欧国側は引き続き欧州全体での共同債の発行を求めている。
これを受け、イタリアのコンテ首相やマッタレッラ大統領らは、不信感を表明。欧州議会は南北で分裂し、これまでもたびたび指摘されていた連帯の欠如が浮き彫りになった。イタリアの全土封鎖は、このままイースター(4月12日)まで延長されることが発表されているが、今にでも支援を必要としている同じ欧州内市民を欧州議会は救済しないばかりか、イタリア単独による対策も許されない状態だ。
イタリア政府は、今週中にも早急な対策をEU内でまとめることができなければ、単独による対応を始めなければならないと宣言している。このまま共同のコロナウイルス対策政策が進められないことになれば、混乱終息後に、南欧国の間でEU離脱論が叫ばれるようになるであろう。
(了)
【日伊経済連合会 会長 ディサント・ダニエレ】
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