武漢市の新型コロナウイルスによる死者数が1.5倍に修正される~当局発表に疑問の声も
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中国衛生当局は4月17日、新型コロナウイルスによる新型肺炎の死者数および患者数の統計を修正したことを発表した。死者数は2,579人と発表されていたが、1,290人増え、約1.5倍の3,869人に、患者数は325人増え、50,333人に修正された。
修正の理由として当局は以下の点を挙げている。第一に、感染の初期段階において、医療現場の人員不足、混乱のため、報告の遅れ、報告漏れ、報告ミスが起きていた、第二に、PCR検査の数量と収容力不足のため、死亡時に報告できていなかった感染者がいた、第三に、患者を収容する医療施設が国営、湖北省・武漢市・武漢市の各区の政府、企業経営および民間の各病院、臨時医療施設などに急速に広がり、衛生当局との間での感染情報の共有が追い付かなかったことなどである。
新型コロナウイルスが爆発的に拡大したため、武漢市当局や医療現場が対応に追われるあまり、統計を正確に行えず、後から修正するということは理解できる。とはいえ、死者数が約1.5倍に増えたということは異常である。また、中国政府が武漢市の感染者の診断基準について、度々変更を行っていることから、疑問の声も上がっている。
たとえば、中国は当初、PCR検査の陽性反応をもって新型肺炎の感染者としていたが、2月12日からは湖北省において臨床診断で相当する症状があれば感染者としてカウントし始め、それで新規の感染者が11日の2,015人から12日の15,512人へと急激に増えた。また、3月に入るころから新規の感染者が大きく減っていき、18~22日のように1人もいない時期があった。しかし、実際には新規の感染者がいたと報道され、政府はそれに対して陽性でも無症状な患者は感染者としてカウントしなかった弁明していた。中国の識者は、「新規感染者をゼロにする」よう中央政府から地方政府に通達があったことを述べており、診断基準の変更という政治的操作を通して、中国の感染が収束に向かっていることをアピールしていたのではないかという疑問を感じさせる。
中国国内の新型肺炎による死者数は、実際には公式発表の数倍に達するのではないかという疑惑自体が以前から提起されてきた。葬儀場に関する以前の中国メディアの報道と照らし合わせると、今回の発表者数が実際の感染者数を反映しているのかまだ不明点が残る。3月末、中国メディアは、武漢市において1月下旬から2月上旬にかけて、検査キット不足のため、感染の疑いのある患者が感染者の死者数と同じくらい死亡したという武漢市の医師の証言を掲載している。武漢市の葬儀場では、新型肺炎の流行以降、遺骨の遺族への返還を一時中断していたが、4月8日の封鎖解除の半月前にあたる3月23日から再開しており、運送会社がある葬儀場(武漢市内に葬儀場は8カ所)に、3月25、26日の2日間で計5,000個の骨壺を納入したという。
【茅野 雅弘】
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