三菱商事が日本KFC株を売却する裏事情(後)
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11月5日、各商社が発表した2015年4~9月期の連結決算の発表は激震をもたらした。伊藤忠商事(株)の純利益が今期(2016年3月期)、三菱商事を抜き、初めて総合商社業界でトップとなる見通しとなったからだ。
伊藤忠は、非資源分野が好調に推移しているとして、今期の純利益計画を期初予想の3,300億円に据え置いた。三菱商事は原料炭などの資源価格の低迷を受けて純利益見通しを3,600億円から3,000億円に下方修正した。
伊藤忠は、通期では中国政府系企業、中国中信集団(CITIC)傘下企業への出資に伴う利益が貢献し、純利益予想は達成できるとした。
一方、三菱商事が通期純利益予想を600億円減額したのは原料炭事業の悪化。豪州での製鉄向け原料炭事業の販売先の2割が中国向けで、価格低迷で同事業の業績が悪化した。加えて、エネルギー関連を中心に約200億円の減損損失を見込むことも響く。
過去10年の間、総合商社は資源事業の拡大に支えられて成長してきた。資源事業が収益の大半を稼いだ三菱商事と三井物産(株)は「資源商社」の異名がついた。しかし、石炭や鉄鉱石などの資源の市況は2011年をピークに低調に推移。各商社は脱資源を進めてきた。
非資源部門が好調な伊藤忠に対し、三菱商事は資源部門が収益の足を引っ張った。それが、三菱商事と伊藤忠の逆転劇をもたらした。
伊藤忠に首位の座を奪われる。商社の盟主を自負する三菱商事には屈辱以外の何ものでもない。栄光の三菱商事を築いた長老たちは、非常事態だとして、首位奪回の檄を飛ばした。三菱商事の経営陣は、あらゆる手立てを尽くし、利益のカサ上げを図り、伊藤忠の首位を阻止しなければならない。日本KFC株の売却は、その一環。伊藤忠に逆転される見通しになったことが、日本KFC株を売却した本当の理由である。(了)
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