【読者ご意見コーナー(2)】米中戦争で金価格暴騰か
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NetIB-Newsでは、読者のご意見を積極的に紹介し、議論の場を提供していきたい。今回は米中関係が国際金相場におよぼす影響についてのご意見を紹介する(京子氏投稿)。
金を買い占める中国
新たな火種が頻繁に勃発している米中貿易戦争は、2020年金相場の「買い要因」として注目されています。
金の世界は中国抜きには考えられないものです。中国には、山東省と新疆ウイグル地区に大きな金の産地があります。中国は豊富な金の埋蔵量を誇り、生産量では世界で圧倒的な1位であり、さらに需要量も1位です。国内生産だけでは足りないために他国からも輸入しています。
中国の金需要には、大きく分けて「官」と「民」の2つの側面があります。
中国人には娘の結婚や孫の誕生、あるいは自分へのご褒美として人生の節目に金製品を買う慣習があることはよく知られています。いうなれば「金大好き人間」が14億人近くいるわけで、この状況は中国特有の需要を生み出していると考えています。中国の外貨準備高の約7割はドルと言われています。しかし、中国にしてみれば大事な資産を「仮想敵国」である米国の通貨として保有するのでは居心地がよくありません。また、通貨の価値はその国の経済に依存しているため、米国が経済政策を変える度に、ドルの価値が増減するリスクもあります。
このように、消去法で考えていくと「無国籍通貨」である金が残ります。金はナショナリズムの匂いのしない世界共通の通貨です。ドルをもつということは米国経済圏の傘下に入ることを意味しますが、発行体のない金なら、通貨とは異なり発行国のイデオロギーや信用度に左右されることはありません!
日本人は「本当に金で大丈夫なのか」と感じるかもしれません。しかし、中国では紀元前3世紀にすでに金貨が使われており、金には2300年近い歴史があります。一方で、人民元は使われ始めてから、たかだか70年です。
このような理由から、中国人民銀行はこれまでに貯めた外貨準備の一部を金に換えようと、21世紀に入ってからひっそりと金の購入を始めました。現代の投資家は売買を繰り返しますが、国は発想が異なっており、外貨準備でいったん購入した金を売却することはまずありません。何十年、場合によっては何百年と国の資産として保有することになります。
米国との戦争に際して金を掌握
このような状況のなかで、「米中貿易戦争」が勃発しました。習近平国家主席としては、手持ちのドルを少しでも減らして金に換えようと考えるのは当然のことであると筆者は考えています。米中貿易戦争が悪化するなかで、「経済安全保障」として金の保有量はますます増加していくと考えられます。
2018年の世界の金の年間産出量は、3,260tと言われています。同年末の中国の外貨準備としての金の保有量は1,852tですが、筆者は、あと3年後にはその保有量が5,000tに達すると予想しています。世界産出量のほぼ1年分に当たる金を中国人民銀行が買い占めることは、金価格上昇の要因になるでしょう。
一方で、米中貿易戦争の相手国である米国でも、金が安全資産として注目されています。結論からいうと、トランプ大統領の今後の行動は予想がつかないため、資産運用のプロは、トランプ大統領がどのような行動をとっても問題が起こらないように対策を講じておく必要があります。
たとえば、トランプ大統領の就任以降、その発言により株価が暴落することが増えましたが、株価の暴落時に値上がりするものとして金が浮かび上がってきます。資産を守るために金を保有することが、トランプ大統領就任後、日本、米国、中国に限らず、世界的に増加しているのです!
米国では「トランプ不安」から金が買われ、中国では経済安全保障などの独自の理由から官・民による金買いが行われています。金価格上昇の背景には、このような米中それぞれの金をめぐる事情があると考えられます。
9月10日も、ニュースでは米中の不穏な雰囲気が伝えられていたようです。筆者は、来年ごろが金相場のピークとなり、金価格は暴騰すると予測しています(単なる推測ですが)。金に関心がある方は、金の価格相場をしっかりと研究することをお勧めします。
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