イタリアで再びロックダウンがスタート:コンテ首相への反発が強まる見通し
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イタリアDIRE通信社 局長 ニコラ・ペローネ 氏
日伊経済連合会のディサント・ダニエレ会長(ディサント(株)代表取締役)より、イタリアのロックダウンに関するDIRE通信社記事を寄稿していただいたので、掲載する。
11月6日から開始されるイタリアのロックダウンの状況
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は、新型コロナウイルスの感染が再び拡大しているなか、感染拡大がとくに深刻な地域で11月6日から再びロックダウンを開始することを定める首相政令を発令した。11月5日だけで新規感染者数は3万4,505人、死亡者数は445人に上った。
今回は感染拡大の危険度に応じて、州ごとに「レッド」「オレンジ」「イエロー」ゾーンに分けられ、ロックダウンが実施される。前回の春のロックダウン時も感染が深刻だった、イタリア北部のロンバルディア州やピエモンテ州はじめヴァッレダオスタ州、カラブリア州の4州が「レッドゾーン」となっている。
レッドゾーンでは、仕事や緊急以外の外出が禁止され、食料や薬など必需品以外の小売店や飲食店などが再び閉鎖される。「オレンジゾーン」はシチリア州とプーリア州の2州で、通勤や通学以外で、州をまたいだ移動が禁止に。「イエローゾーン」は、それ以外の全州で、午後10時から午前5時までの間は外出禁止で、飲食店などは午後6時までに営業を終えなければならない。映画館、ジム、博物館なども閉鎖される。
コンテ首相によるこの発表に対し、とくに反発を示しているのは、レッドゾーンに振り分けられた州の知事たち。その筆頭は、イタリア政党「北部同盟」を支持する、ロンバルディア州(州都はミラノ)のアッティロ・フォンターナ知事だが、実際にはミラノの衛生当局の責任者は政府の方針に理解を示し感染拡大防止のためさらなる対応を進められるよう求めているとされ、フォンターナ知事による反発は、北部同盟の党首マッテオ・サルヴィーニの指示で政府との衝突を誘発しているのではと言われている。
「イタリア民主党(PD)」(※)の党員から聞こえてくるのは、「今回の首相政令では、コンテ首相は感染拡大の状況に応じて今後取られる処置についてはロベルト・スペランツァ保健省大臣に責任丸投げ状態。いつまでコンテ首相は脇から傍観できるつもりだろう?」という声だ。セルジョ・マッタレッラ大統領は、各州政府や議会による政府への反発を鎮めるために関係者への働きかけを行ったが、いつまでこのような不安定な状態で政権が続けられるか疑問を持つ人も多い。
コンテ首相は、与党政党の「イタリア・ヴィーヴァ」マッテオ・レンツィ党首と「イタリア民主党」のニコラ・ジンガレッティ党首と今夜(11月6日)会談するといわれている。政府筋は、これまで対応を求めてきた内閣再編成についての話は今回予定されておらず、新型コロナウイルス対策が議題であると強調する。
今回の会談では、イタリア・ヴィーヴァとイタリア民主党から、新型コロナウイルス感染拡大防止のための医療システム整備費として、欧州のセーフティーネットといわれる「欧州金融安定化メカニズム」から370億ユーロの借り入れを行うことを強く求められるものとみられている。コンテ首相はこれまで、欧州金融安定化メカニズムの利用を拒否してきたが、すでにいくつかの州で医療崩壊の兆しが見られることもあり、今回はコンテ首相が逃げ切ることは難しいであろう。
当面の間は新型コロナウイルス対策に注力するために現政権に大きな変化は訪れないであろうと思われるが、非政治家コンテ内閣の継続に疑問を持つ人が多いということは事実である。
※:イタリア民主党(PD)は与党であるが、コンテ首相は選挙によって選ばれたのではない非政治家のテクノクラート首相である。また、イタリアでは国家元首である大統領と、内閣の首席である首相の両方が存在する。 ^
(翻訳・補足:ディサント(株))
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