2024年11月22日( 金 )

無電柱化で安全&快適な都市生活をつくる 社会貢献を胸に、サステナブルな挑戦も

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熊川工業(株)

舗装・土木・電気のすべてをこなす 対応力とクオリティーが好調のカギ

福岡202号線春吉橋迂回路舗装工事
福岡202号線春吉橋迂回路舗装工事

 ひと昔から比べて、街の模様は大きく変わった。高層ビルや商業施設、道路など、時代とともに街の景色は移ろっていく。かつては当たり前のように立っていた電柱は、どんどん視界から消え、地下埋設へと移行している。

 熊川工業(株)は、無電柱化を施す電線共同溝工事事業をメインに、道路舗装や照明工事などに幅広く対応する建設企業だ。近年では、福岡3号バイパス水谷地区舗装工事、六本松交差点改良工事、アイランドシティ地区コンテナターミナルシャーシ滞留帯舗装工事、香椎副都心公共施設舗装工事、そして、自由ヶ丘高校野球場の新設工事、福岡202号春吉橋迂回路舗装工事など、インフラから公共施設まで活躍の場は多彩だ。

 2012年に代表取締役社長に就任した熊川大祐氏は、「当社の強みは、舗装・土木・電気とあらゆる工事をマルチに請け負うことができるところです。普通はそれぞれに特化した会社が各分野で工事を行います。ただ、私たちはほかの会社がやらないようなことをやっているので、工事を一手に引き受けられますし、それだけ発注側の負担も少ないと思います」と教えてくれた。

博多駅前10号線道路改良工事(石畳舗装)
博多駅前10号線道路改良工事(石畳舗装)

 福岡市からランドスケープ大賞、国土交通省九州地方整備局からは工事成績優秀企業として表彰、春吉橋工事では局長表彰を受け、また、西日本高速道路(株)からは、品質管理・安全管理の分野で優秀賞を受賞するなど、これまで手がけた実績を高く評価されている。

 とくに、ランドスケープ大賞を受賞した、観光客が多く行き交う博多駅前の承天寺通りは、古き良き街並みを思わせるきれいな石畳が続いている。この舗装工事で博多らしいまちづくりを実現し、多くの人の胸を打ったのだ。質・量ともに充実を図り社会に貢献する、熊川工業の志をここに垣間見ることができる。

技術者の数だけ現場がある 楽しく働く仲間をもっと増やしたい

 電線共同溝工事を始めたのは、大祐氏の父親である先代の熊川新治氏の時代から。八女市が地元ということもあり、まずは久留米地区の無電柱化をスタートさせ、施工エリアをどんどん拡大していった。

 「今は、日赤通りや長浜通りなど福岡市の幹線道路はほぼ無電柱化が終わりました。しかし、他の先進国に比べればまだまだ無電柱化は進んでいないのが現状です」(熊川社長)。

 たしかに、電線共同溝工事は、国や自治体の決定なくして行うことができない。福岡では九大跡地やアイランドシティのようにまっさらな状態で都市をつくる際は、無電柱化を含めて自由に都市デザインできるが、既存の電柱がある場所では周辺環境に左右される分、設計は困難を極める。設計から実際に工事に至るまでも年数を要し、同社が手がけた香椎駅前の区画整理には10年の歳月がかかったという。それでも電柱があるとないとでは街の景観がまったく違い、熊川社長はこの事業を主軸に据え、永続的に対応できる体勢づくりを同時進行で行う。

 「技術者の数だけ現場をつくることができるのが、私たちの仕事の特徴です。電線共同溝工事でさらに社会貢献していくためにも、一緒に頑張ってくれる仲間は必要ですし、人材確保は永遠のテーマでもありますね」(熊川社長)。

 約50名いる社員は全員「家族」だという熊川社長。吸収力が早く現場でバリバリ活躍する若手から、先代とともに創業から熊川工業を支えてきたベテランまで在籍し、新人教育には最適な環境が整っている。加えて、17年に現在の社屋が完成し、会社のイメージアップにも成功した。

 「社屋を新しくしたことで新入社員が増えましたので、企業イメージの大切さを痛感しました。最近では、香椎工業高校さんからインターンシップのお声がけもいただいています。会社見学をしてもらったり仕事内容の説明をしたりと、少しでもこの仕事の魅力を伝えていきたいです」。続けて、会社の展望を「社員の安全を守りながら、楽しく仕事をしていきたい。そういった意味で強い会社を目指したい」と語った熊川社長の思いは、地道に伝えていくことで、若い世代にも着実に浸透しているところだ。

同社が手がけた新築マンション「D・TERRACE 千早」
同社が手がけた新築マンション
「D・TERRACE 千早」

 相次ぐ自然災害からの復旧・復興が福岡県でも取り組まれているなか、「当社は社員とともに建設業としてできる安全・安心で災害に強い社会づくりに、少しでも貢献したいと思います」という熊川社長の言葉に強い決意を感じた。

 そんな熊川社長が現在取り組んでいる挑戦がある。朝倉郡東峰村にある関連会社のリソースフォレスト(株)では、間伐材を原材料にした「木質成型板」を製造する。「木質成型板」とは、ウッドチップを加工成型した資材だ。ブロック状にして、歩道などに敷き詰めて利用するのだが、照り返し抑制効果があって断熱性が高く、膝の負担も軽減できることから、人と自然環境に優しい製品として期待されている。

 「間伐材や古材のリサイクルにもなりますし、建築資材としてさまざまに活用できると信じています。今は実用化に向けて耐久実験などを繰り返していて、これを成功させるのが今私の夢でもあります」(熊川社長)。

 木質成型板は舗装材以外にも、エクステリアやガーデニングに使える家庭用など、多様な商品ラインアップをそろえている。 こういったサステナブルな取り組みが共感を生み、暮らしやすさの支えとなる。同社の舗装が、今後の福岡と日本の街を変えていく。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:熊川 大祐
所在地:福岡市東区水谷3-26-20
設 立:1995年8月
資本金:2,000万円
TEL:092-672-8867
URL:http://www.kumagawa-k.co.jp


熊川 大祐 氏<プロフィール>
熊川 大祐
(くまがわ だいすけ)
1976年12月生まれ。北九州大学(現・北九州市立大学)法学部卒業。卒業後は日本乾溜工業(株)に就職し、4年間あらゆる物づくりを経験。その後、2003年に熊川工業に入社し、12年に代表取締役に就任。

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