九州地銀の2021年3月期　第3四半期（12月期）決算を検証する　（1）

　【表1】を見ていただきたい。九州地銀（17行）の2021年3月期 第3四半期（12月期）決算発表日の推移表である。

◆昨年、もっとも早かったは南日本銀行で2月3日（月）。今年もっとも早かったのは山口FG傘下の北九州銀行で2月5日（金）。昨年より2日遅れだった。
　一方、もっとも遅かったのは宮崎銀行で2月12日（金）。昨年は九州FGで13日（木）だったので、1日短縮されている。
◆ふくおかFG傘下の親和銀行（継承銀行）と十八銀行が20年10月1日に合併したため、九州地銀は1行減って17行となっている。

　【表2】を見ていただきたい。九州地銀の21年3月期 第3四半期（20年12月期）の経営成績推移表である。（以下、20年12月期と表記する）。

～この表から見えるもの～
（1）金融グループの順位表について
◆20年12月期の四半期純利益のトップはふくおかFGで、前年比▲1,100億7,300万円の357億4,800万円（前年比-75.5%）。但し、前年は十八銀行との経営統合に伴う特別利益「負ののれん発生益1,174億3,300万円が含まれており、差し引きすると実質は増益。
・2位は西日本FHで前年比+20億7,300万円の173億7,200万円（前年比+13.3%）と大幅な増益。
・3位は九州FGで前年比▲13億4,200万円の151億4,100万円（前年比-8.1%）と減益。

（2） 九州地銀行17行の順位表について
◆20年12月期の四半期純利益が前年比プラスとなっているのは、福岡銀行など12行。マイナスであるのは、肥後銀行など5行となっている。
・第1位は福岡銀行。前年比+66億7,100万円の411億8,600万円（同+19.3%）。
・第2位は西日本シティ銀行。前年比+20億7,000万円の147億4,100万円（同+16.3%）。
・第3位は肥後銀行。前年比▲18億6,900万円の90億400万円（同-17.2%）。
・第4位は鹿児島銀行。前年比▲9億4,600万円の80億9,200万円（同-10.5%）。
・第5位は宮崎銀行。前年比+8億5,400万円の64億1,700万円（同+15.4%）。
・第6位は大分銀行。前年比▲600万円の38億9,800万円（同-0.1%）の微減。
・第7位は熊本銀行。前年比+8億5,500万円の34億700万円（同+33.5%）。
・第8位は佐賀銀行。前年比+1,500万円の23億4,800万円（同+0.6%）の微増。
・第9位は北九州銀行。前年比+2億9,100万円の24億4,900万円（同+13.5%）。
・第10位は十八親和銀行。20年10月1日に親和銀行（継承銀行）と十八銀行が合併し、十八親和銀行が発足し初めての四半期決算。前年比+48億1,500万円の20億3,000万円。合併前の19年12月期の四半期純利益（単純合算）▲27億8,500万円の赤字から黒字転換している。
・第11位は宮崎太陽銀行。前年比+5億1,100万円の14億3,200万円（同+55.4%）と大幅な増益。
・第12位は南日本銀行。前年比+1,400万円の13億4,800万円（同+1.0%）の微増。
・第13位は豊和銀行。前年比+3億9,000万円の13億4,500万円（同+40.7%）の大幅な増益。
・第14位は筑邦銀行。前年比▲2億5,900万円の7億5,300万円（前年比-25.6%）。第一地銀所属10行のうち10億円割れは筑邦銀行だけとなっている。
・第15位は福岡中央銀行。前年比+1億1,900万円の5億9,000万円（同+25.3%）と健闘している。
・第16位は佐賀共栄銀行。前年比▲4,600万円の4億6,100万円（前年比-9.1%）。
・第17位は長崎銀行。前年比+1億2,000万円の1億9,100万円（同+169.0%）と大幅な増益。
◆上位6位までは第一地銀。7位にふくおかFG傘下の第二地銀の熊本銀行。同行は第一地銀の佐賀銀行、北九州銀行や、同じふくおかFGの十八親和銀行および筑邦銀行よりも上位にあることが目に付く。

＜まとめ＞
　20年12月期の四半期純利益が前年より減益となる銀行は、肥後銀行、鹿児島銀行、大分銀行、筑邦銀行、佐賀共栄銀行の5行。で、福岡銀行など7行が増益となっている。

　20年12月期までは予想以上の当期純利益を計上した銀行が多いが、21年3月期の通期予想では17行のうち、10行が減益予想となっている。これから、経営成績の内容を掘り下げて検証していく。

（つづく）

【㈱データ・マックス顧問　浜崎　裕治】