2024年11月22日( 金 )

老化は確実に進む(8)老人大国の国民に

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公的義憤皆無、沈没不可避

永田町 イメージ 当社が発行している『I・B』の夏季特集号を貫くテーマは「日本人は覚醒するのか~日本を救うのはわれわれ企業人!」。日本の劣化は進行するが、それを救える経営者とはどのようなものかという問題意識のもと編集を進めており、発刊のメドが立ってきた。ただ、「日本の劣化は止まらず、日本丸は必ず沈没する」と確信し、改めて憂鬱になった。なぜかというと、ここに至っても国民の誰もが公的なことへの疑心を抱かないという事実があり、それが行く手に立ち塞がっていると感じたからである。「いい加減に政府に対して不信の声を挙げてはどうか」と言いたい。

 「誰かが、国が守ってくれる」と思い込むだけの自己防衛姿勢。能天気そのものである。加えて、自身は被害者というスタンスを常に堅持している。「俺が危機突破を引き受ける」という存在は稀有だ。ただ大人しいというわけではなく、発言は結構行っているが、どうもピント外れだ。「味方を敵視して本当の敵を見失う」ことが往々にしてある。身近な人たちに痛烈な批判を発する人に対して、「本質的な敵は別にいるだろう」と言いたい。

身内優先、私物化独裁政権

 約7年半も安倍晋三氏に国家運営を託してきた国民のお人よしぶりが、「国民に都合の悪いことを隠蔽する政治姿勢」の横行という今日の日本の危機を招いた。長期間権力を維持した成功体験から「国民はちょろい」と自信をもつ。もともと、安倍氏にしろ菅義偉首相にしろ、「国民を守る」という使命感はほんの欠片も持ち合わせていない。「桜を見る会」がその見本である。自身の支援者は上京させ、接待を公然と行う。身内には甘い。

 加計学園の学部新設の認可においても公私混同も甚だしい。身内のことに関しては一生懸命に粉になって手配するのだ。菅氏の息子が籍を置く総合映像プロダクションにおいても関係者からの忖度はすさまじい。菅氏から見れば、関係省庁の高級官僚たちが自身の息子を持ち上げて、願望を実現してくれる。官僚たちは自身の将来の出世を見込んで忠誠を尽くす。国民には、権力を私物化した独裁政権による依怙贔屓の政治姿勢に異議申し立てを迫ってもらいたいのであるが、力強い動きは見られない。

組み立てる能力がない

 コロナ対策を通してすべてが露呈された。安倍氏も菅氏もひとしく一意専心で国民を守る気持ちを持ち合わせていないことは述べたが、コロナ対策を組み立てる能力もゼロだ。つまり国家の経営能力が無さすぎるのである。専門家たちの意見・具申を取り入れて応用する能力もない。忖度に終始する側近には、非常事態において才覚を発揮できる者はいなくなってしまった。第2次安倍政権7年半で日本は国家として致命的な劣化が進行し、再起不能な状態まで堕ちてしまった。

 さて、菅政権はメンツで東京オリンピックを強行する。選手団は別として、関係者および追随者たちは好き勝手に観光してまわるであろう。盆過ぎには感染力の強いインド変異株が全国に蔓延することは間違いない。国民は生死の境目に立たされることになる。9月には予想される解散総選挙において、的確な判断を示さないと日本の再生は本当に不可能になってしまうであろう。

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