2024年11月22日( 金 )

【IR福岡誘致開発特別連載44】東京都議選、自民党大敗~IR横浜への影響は?

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東京都議会 イメージ 4日の東京都議会議員選挙において、自民党は公明党と合わせても過半数を獲得できず、事実上の「大敗」を喫したといえる。コロナ対応のまずさとオリンピック招致問題が無党派層の投票に大きく影響した結果となった。この選挙結果が今秋までに実施される予定の自民党総裁選と衆議院議員選挙におよぼす影響は決して小さくはないであろう。

 東京オリンピック開催が約20日後に迫っており、首都圏におけるコロナの感染拡大は避けられない。自民党にとって好材料は何1つなく、衆議院選挙は都議選の結果を下回ることも予測される。

 IR横浜について、既報の通り、積極的に推進してきた現職の林文子市長(3期目)は自民党横浜市連の推薦は得られていない。新たに立候補を表明した小比木八郎衆議院議員(自民党)はIR誘致開発には反対の意見を表明しているが、同じく推薦を得られておらず、自民党は自主投票となっている。都議選の影響を受け、横浜市長選挙において自民党系候補は大変厳しい戦いを強いられるのではないか。

 既報の通り、セガサミー里見会長とスーパーゼネコン三社(鹿島、竹中、大林)にALSOKによるコンソーシアムにとって、このことは"織り込み済み"だ。横浜市長選挙の結果次第では、東京オリンピックと衆議院選挙後に、現政権と小池都知事による"築地跡地"を利用したIR東京誘致開発へと切り替えて、積極的な行動に出るという予測が現実のものになりつつある。

 とはいえ、今回当選した41人の女性都議会議員がもし「カジノ=ギャンブル依存症」と考えるならば、IR東京はそう順調にはいかないだろう。加えて、小池都知事は都民ファーストの会の創設者であり、現在も特別顧問を務める。IR誘致開発に賛成するのかどうかはなはだ疑問である。

 IR大阪については、今夏の8月くらいまでにオリックスとMGMが具体的な RFP(本件事業の基本計画書の提出)を実行すると公言しているが、このコロナ禍での渡航規制に加え米国の経済環境を考慮すると、それまでに実行できるのか不安視される状況だ。

 IR和歌山については、いまだに基本的な仕組みができていない。IR長崎と同様に、日本側の企業に名を連ねる地元企業の具体的な姿が見えてこない。つまり、本件IR事業の事業母体コンソーシアムの組織組成もままならないというのが現状だ。本連載で繰り返してきたように、後背地人口の少ない地方都市ではIR事業は元から困難なのだ。

 それゆえ、政府が定める全国3カ所の地域認定について、具体的に進んでいる候補地は大阪の1カ所だけだ。もっとも、これにもまだ時間を要する。横浜については前述の通りの状況だ。市長選の結果に左右されるが、林市長の再選は困難とみている。

 残るは福岡市の出方次第だ。水面下の情報は入ってくるが、具体的な情報はまだ表には出てきていない。IR福岡の関係者は、コロナ感染再拡大、東京オリンピック、衆議院選挙などの動向を睨みながらタイミングを測っているようだ。しかし、政府への申請締切日来年4月末であり、あまり時間的な余裕はないはずだ。近いうちにIR事業への正式な立候補表明を期待したい。

【青木 義彦】

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