コロナ禍における事業再生を指南～CRC企業再建・承継コンサルタント協同組合がセミナー開催

　CRC企業再建・承継コンサルタント協同組合（東京都千代田区、真部敏巳代表理事）主催によるセミナー「コロナ禍における事業再生の成功ポイント 支援専門家とTAMによる事業再生支援とは？」が28日、福岡市中央区のTKPガーデンシティで開催された。

　CRC企業再建・承継コンサルタント協同組合は2001年11月に経済産業省より法人として認可を受け設立。経営改善型の「自主再建・承継」に関するコンサルティングや実行支援を手がけている。現在、北は北海道から南は鹿児島に支部を構え、これまで501社の自主再建・承継についてのコンサルティングを行っている。

危機的状況を経験したことで強靭な企業体質に

　同セミナーは2部構成で、第1部では（株）吉野家ホールディングス会長・安部修仁氏による基調講演「中小企業再生のための成功ポイント」が行われた。安部氏が吉野家社長に就任したのは1992年のこと。安部氏就任以降、増収増益を続けてきた同社だが、そこに思いもよらない危機が到来する。アメリカに端を発する「BSE問題」である。同業他社はオーストラリア産の牛肉に切り替えるなどして、牛丼の提供を続けたが、吉野家は2004年2月から牛丼の提供を停止。安部氏主導で牛丼にかわる新商品をスピードディーに次々と投入。その結果、同年前期は赤字計上を余儀なくされたものの、後期には黒字化を達成することになる。安部氏は「危機的な状況を経験し、それに対応していったことで逆境に強い企業体質になった」と当時を振り返る。

　同社は解決すべき課題・問題点がいくつかでてきた際、解決すべき問題点の優先順位をつけ、「全力で、全員で短時間に集中的に解決」するという。「目の前の課題に社員全員が集中して取り組むことで意識が変わり、組織に一体感が出る」とのこと。

　コロナ禍における外食経営者へのアドバイスとして安部氏は「コロナ禍において、企業がやるべきことは、まず存続し続けるための“ディフェンス”活動を何よりも優先すべき。ディフェンスをしっかり固めたうえでの“オフェンス”です」と語り、「コロナによって人、金、物、情報などすべての状況・資源が変わる。何がどう変わったのかをじっくりと見極めて、自らの筋道と目標を立てて、それにチャレンジすることで、必ずやピンチをチャンスに変えられます」と強調した。

中小企業が抱える「4つの問題点」

　第2部はパネルディスカッション「専門家、TAM（ターンアラウンドマネージャー）が語る！事業再生 現場改善のポイント」。モデレーターをCRC代表理事の真部氏が務め、パネラーとして税理士法人さくら優和パートナーズ熊本本部代表・岡野訓氏と池松孝倫氏、ヒューマン・トレジャー・ネット・コンサルツ代表で中小企業診断士の野口誠司氏が参加した。

　ディスカッション中、「コロナ禍において顧客である中小企業経営者に対し、どのような支援・指導を行っているか」との議題に対し、岡野氏は、熊本地震により自社ビルが半壊してしまった自身の経験を紹介したうえで、内部留保の重要性を指摘。顧客には「内部留保を厚くすることに努め、最低でも自己資本比率40％を目指しましょう」と指導をしているそうだ。

　また、野口氏は中小企業の問題点として「社内が活性化されていない」「経営状況の“見える化”がなされていない」「各部門の力が結集されていない」「将来のビジョンが見えていない、考えていない」という4つを挙げ、それに対する改善策について、具体例を交えつつ紹介していった。