トラストHD自己株式取得~代表取締役辞任の渡邉氏から売却意向
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12日、トラストホールディングス(東証マザーズ)が、発行済株式の22.5%※に上る自己株式の取得を行った。
取得は立会外取引で行われた。取得先は7月15日に同社の代表取締役および取締役を辞任した創業者の渡邉靖司氏、そして同氏の資産管理会社・渡神だ。取得額は約4億円。20年6月末時点で渡邉氏は発行済株式の10.4%※、渡神は32.28%※を保有していたが、渡邉氏は全株、渡神は一部を売却することとなった。
※自己株式除く自己株式の取得は、「渡邉氏から売却意向の打診」があったこと、「将来の機動的な資本政策遂行」などの観点から決定されたようだ。
渡邉氏の辞任理由は、「経営体制の若返りにより組織の活性化を図り、持続的な成長と強固な企業基盤を確立するため」だという。渡邉氏は子会社の役員からも退任しており、また従業員としても残っておらず、完全に同社から引いた格好で、実質的な創業者による会社の売却といってもいいだろう。
同社の足元の経営状況をみてみると、21年6月期は売上高こそ前期並だったものの、営業赤字に転落していた。駐車場など小口化事業が4億円近い営業利益を稼ぎ出した一方で、メディカルサービス事業やRV事業、駐車場事業がそれぞれ1億円を超える赤字を計上するなど足を引っ張ったことが要因。
駐車場事業はコロナ禍の影響が大きかったといえるが、RV事業はコロナ禍前から大幅な赤字事業だった。キャンピングカーの製造、販売およびレンタルを行うRV事業は、売上高こそ伸びているが、利益面で大きく足を引っ張ってきた事業だ。マンション分譲の不動産事業や不特法による駐車場など小口化事業は浮き沈みこそあるが、この2事業がコロナ禍で利益面を支えていた。今期からは、「収益力向上を図るため、事業の再構築などに積極的に取り組んでいく」(同社)といい、万年赤字のRV事業にメスが入るのか注目される。
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