COP26へ向かう岸田総理、地球温暖化に歯止めをかけられるか(前)
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国際未来科学研究所 代表 浜田 和幸
問われる外交手腕
10月31日の衆議院議員選挙の結果、自民党は単独過半数を確保できたため、岸田総理は遅ればせながら、英グラスゴーで開会中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)へ飛び立つことになりました。
選挙戦の最終日と重なったため、その直前にローマで開催されたG20には欠席し、ビデオメッセージを送っただけの岸田総理です。日本にとっても重要なポストコロナ時代の経済通商政策や地球温暖化防止対策について、各国首脳とどこまで議論を深め、具体的な国際的合意を形成できるのか、外交手腕が問われます。
我が国のみならず、全世界がこれから50年先、100年先に直面する難題の最たるものが、気候変動であることは疑う余地がありません。トランプ前大統領は異論を唱えていましたが、近年、気候変動は地球上のすべての大陸や海洋におよび、自然界や人類の生存に大きな影響をおよぼし始めているのは事実です。
強気のトランプ氏は「地球温暖化はウソだ。中国によるペテンに騙されるな。2015年のパリ協定など守る必要はない」と主張して、就任早々、「パリ協定」から離脱しました。とはいえ、北極や南極の氷が溶け出し、太平洋の島々が水没の危機に晒されている現実は否定のしようがありません。水資源、生態系、農業・食糧、そして人間の健康といった分野でさまざまな弊害が観測されるようになってきています。
02年からの20年間で、地球の平均温度は1度上昇しました。水面も1993年から02年の上昇が2.1mmであったが、13年から21年にかけては倍以上の4・4mmも上昇しています。明らかに北極や南極の氷が溶けたせいです。この傾向が続けば、2100年までには2mを超える水面上昇が想定され、全世界で6億3,000万人が移住を余儀なくされるとの観測も出ています。国連のグテレス事務総長は、「目の前で地球が悲鳴を上げて激変している」と話しています。
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長崎・小浜温泉、未利用温泉で約220世帯分の地熱発電~雲仙市は地熱の保護・活用条例も(前)バイデン大統領は早々に「パリ協定」に復帰し、この10月末から始まったG20とCOP26には積極的に参加し、この人類共通の大敵に挑もうとしているようです。岸田総理もその流れに乗り遅れまいとしています。とはいえ、閉幕したG20でも各国の首脳は危機感を共有したものの、具体的な対策や関与については踏み込みませんでした。いわく、「COP26の議論に期待したい」。
プーチン大統領も習国家主席もCOP26に不参加表明
期待されるCOP26ですが、全世界から2万5,000人もの代表団がグラスゴーに集まる予定です。熱い議論が期待されていますが、最も熱くなっているのは「ホテルの宿泊代金」にほかなりません。数が限られているため、通常1泊42ポンドの宿泊代金が何と1,400ポンドに急騰しています。
コロナ禍で宿泊者数が減少していたため、その損失を一挙に取り戻そうという魂胆でしょうが、ホテル業界に限らず民泊の場合でも2部屋で2,000ドルというべらぼうな値段に釣り上がっているようです。また、世界の要人の安全を確保するため、武装警官が1,000人以上も動員されているとのこと。地球環境も異常ですが、こうした対応ぶりも異常としか言いようがありません。言わば「儲け主義」がここまで加熱しているのかと、驚かざるを得ません。
そうした「金銭至上主義」に反旗を翻したわけではないでしょうが、ロシアのプーチン大統領も中国の習近平国家主席もCOP26には不参加を表明しています。温暖化対策には欠かせない世界最大のCO2排出国である中国は「代表団を派遣する」というものの、習近平国家主席は欠席とのこと。習氏は20年1月にミャンマーを訪問して以来、海外には21カ月以上、出かけていません。
(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。最新刊は『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』(祥伝社新書)。関連キーワード
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