業界仰天!スーパーゼネコンの大成建設前社長・村田氏がハウスメーカーの大和ハウス工業副社長に転身(後)
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今年、ゼネコン業界の話題をさらったのが、スーパーゼネコン・大成建設(株)前社長だった村田誉之氏のハウスメーカー・大和ハウス工業(株)副社長への転身。業界人を仰天させた。
リニア中央新幹線の談合事件が動因か?
村田誉之社長の不可解な引責辞任を、業界はなぜ「大成建設のお家芸の内紛」と冷ややかな目で見たのか。この間の出来事をたどると、真相は自ずと浮かび上がってくる。
2017年5月、大成建設の山内隆司会長が経団連副会長に就いた。副会長にゼネコンから選ばれるのは初めてだ。ゼネコン業界はこれまで汚職、談合、事故などの不祥事が多かったため、経団連副会長になれなかった。
東京オリンピック・パラリンピックの主会場である新国立競技場の建設と、業界初の経団連副会長の座を手にして、大成建設は高揚感に包まれていた。
そこに起きたのが、リニア中央新幹線の談合事件である。
17年12月、東京地検特捜部と公正取引委員会はスーパーゼネコン4社(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)が品川駅と名古屋駅の見積額や入札価格を教え合っていた(談合)として、独占禁止法違反の容疑で捜査し、翌3月、法人としての4社と、鹿島と大成建設の幹部2人を起訴した。
談合事件に対するゼネコンの対応はわかれた。大林組と清水建設は、いち早く白旗を掲げて捜査当局に恭順の意を示した。課徴金減免制度を使って、罪を自主申告したため、大林組は罰金2億円、清水建設は罰金1億8,000万円の有罪判決が確定した。
かつて「談合の帝王」と呼ばれた大林組は、数々の談合事件で摘発されて経験は豊富。談合を認めて、ミソギを済ませて、早く復帰することが得策と経験から学んでいる。それが、今回の対応に見ることができる。
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【企業研究】鹿島の創業家物語 女系家族への大政奉還は「ジ・エンド」(前)一方、抵抗組は濃淡がある。鹿島は「起訴された事実を重く受け止める」というコメントを出したが、大成建設は「起訴事実については独禁法違反に該当しないと考えている」と徹底抗戦の構えだ。無罪を主張する2社に対して、東京地方裁判所で19年2月から独禁法違反を問う裁判が始まった。
大成建設が徹底抗戦したのは、談合を認めれば、山内会長が経団連副会長の引責辞任に追い込まれるからだ。それは絶対に避けたかった。
しかし、談合相手の大林組と清水建設が談合を認めている以上、大成建設が勝訴する可能性はない。20年秋には裁判が結審する。敗訴が確定すれば、当時経営トップだった山内会長と村田社長は辞めざるを得ない。それを見越して、山内会長は村田社長に引導を渡して引責辞任に追い込み、中2階ポストの副会長に棚上げ。談合事件に無傷の相川氏を社長に引き上げたとみることができる。
リニア中央新幹線工事をめぐる大手ゼネコン4社の談合事件で、独禁法違反(不当な取引制限)罪に問われた大成建設の元常務執行役員・大川孝、鹿島の元専任部長・大沢一郎両被告と、法人としての両社の判決が21年3月1日、東京地裁であり、楡井英夫裁判長は大川、大沢被告にいずれも懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)、両社に罰金各2億5,000万円(同罰金3億円)を言い渡した。
それを見届けた村田氏は大成建設の副会長を辞し、大和ハウス工業の副社長に転身した。その深層心理を読み解けば、大成建設のワンマン会長の山内会長に「談合事件の責任をとって、あなたも辞めたらどうか」と刃を突き付けたということではなかろうか。
(了)
【森村 和男】
法人名
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